「これ考えた人すごいわ」桑名駅の“飛び出す”案内表示が話題 「見やすい」「分かりやすい」と利用者から好評

AYA AYA

三重県の桑名駅の“飛び出す”案内表示が話題になっている。SNS上では「ホント、これ考えた人すごいわ」「JRと近鉄の乗り場を間違えてしまうので助かります」「サッカーの試合でよく見るよね、不思議だけど、効果アリ」と設置以来、評判がすこぶるいいのだ。

桑名駅の新駅舎は2017年8月の着工から約3年の工事期間を経て、今年8月30日に完成。近畿日本鉄道(近鉄)、養老鉄道(近鉄のグループ会社)、JR東海の3路線が乗り入れる。JR東海は1894年(明治27年)より、近鉄・養老鉄道は1919年(大正8年)より、100年以上もの長い間愛されてきた地元民の“足”だ。

リニューアルによって綺麗になり、より便利になった駅で利用者が喜んでいるなか、さらに話題を生んだのが、浮き出して見える案内図だ。一見すると普通の案内表示なのだが、少し離れた場所や角度を変えた場所から見てみると、トリックアートのように立体的に見えるようになっている。目の錯覚「錯視サイン」を利用した案内だ。錯視サインは、国籍や年齢を問わない上に、視覚障がい者等の支障にもなることなく目を引く案内を行うことが大きなメリットだ。

近鉄線改札口に「近鉄線のりば」と、養老鉄道に向かう所に「養老鉄道線のりば」が2カ所設置されている。桑名駅にはこの案内表示のほかにも、プロジェクターを用いた乗り場案内を行っている。天井に備え付けられているプロジェクターによって、地面に光を当て、動く矢印で駅のホームへ誘導する。通行を妨げず、平面でも案内表示を目立たせる工夫をしている。リニューアルの経緯を近鉄の広報部に聞いた。

――駅を新しくした理由は?

「桑名駅には近畿日本鉄道、養老鉄道、JR東海の3社が乗り入れているのですが、今まではJR東海がある東側の改札から、西側の近鉄と養老鉄道の改札の移動の際、近くの踏切を渡る必要があったのです。東側と西側の行き来をよりスムーズにするために、桑名市が中心となり、駅舎を新しくしようとする計画が持ち上がったのがきっかけです」

――なぜ錯視サインを取り入れたのですか?

「新しい桑名駅の着工に当たり、若手社員の意見を募りました。『見やすさ』や『分かりやすさ』を目的とした、この錯視サインに決定し実際に京急電鉄にも見学に行きました」

――利用者からの評判は?

「とても好評です。皆さん立ち止まって写真を撮られたりしています。特にご年配の方々が『見やすくて、分かりやすい』と口々に言われていると、錯視サインにして良かったと嬉しく思います」

近鉄では名古屋線阿倉川駅でも2019年12月に錯視サインを導入しているが、このような案内表示を全国で初めて導入したのは京浜急行電鉄(京急電鉄)で、同年1月28日から羽田空港国際線ターミナル駅に設置されている。

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