長男がすでに社会人のため、上の子のママ友は50歳以上という人がほとんどです。そんなママ友のひとりから「わたし、実は仕事辞めたんだよね」と連絡がきたので驚きました。
なにしろ子どもふたりを育てながら、2人目は育休をとらずに復職、研究職から途中で本社勤務を希望し、管理職にまでなった彼女だったからです。もっと驚いたのは仕事を辞めたあとの話です。
「ずっと夢だった、編み物の先生になったの」
…編み物!? 彼女が!?
いわゆるバリキャリの彼女からは想像もつかない転身ではありませんか。
「私のやりたかったこと」夢の実現
そう言われてみれば、彼女はとても手先が器用だったな、と思い出しました。超多忙な日々で、一時期は食事は宅配サービスを利用していたようだし、稼ぎが良くなったからとお掃除も外注で頼んでいました。でも、そんな彼女が夜なべしてでも、子どもの保育園の布団やバッグを自分で作っていたのは知っていました。
もともと、裁縫や手芸が大好きだったんですね。
「仕事はやり甲斐はあったし、48歳で管理職に就いた時は達成感もあった。でも本音を言えば、子どもの頃からずーっと編み物が大好きでね、家の中には編み出して途中のままのマフラーやセーターがいくつもあったの」
久しぶりに会った彼女はちょっと照れたように笑って言いました。
「50歳を過ぎて、下の子も無事大学卒業寸前となって、いや~、もう仕事はいっか、となぜか急に思っちゃったのよ。最初は大学の専門から研究職になって、ちょい理不尽なこと続きで、これは本社に入って元から何とかしてやる!とか戦うことに夢中になっちゃってさ。でも、研究の環境とか予算とかさ、采配できるポジションはやっぱ遠いわけよ。そりゃ少しは貢献したかな、とは思うけれど、自分が思い描いていた通りにはいかなかった。それはいいの、会社には経営があるんだって本社でわかったこともあるしね。でも、そうなると仕事を続ける意味みたいのがわからなくなった部分はある」
「たまたま、なんだけど、近所に編み物教室があるんだって帰り道に見つけてさ。いきなり、鮮明に、思い出したの。私、小さい頃から編み物が大好きで、編み物の先生になりたいって小学校の卒業アルバムにも書いたっけなぁって。それでさ、思い切って、教室に通い出したわけ。長女は独立したし、下の子もどうせ家になんていない。夫も散々家事分担だ、なんだとやり合ったおかげで、ひとりで何でもできるようになったしさ」
「編み物教室も最初は週1日だったんだけど、どんどんハマっちゃって。もともと好きだったし、凝り性だしね、同年代の先生とも意気投合して、もう子どもの教育費もメドがたった。仕事は辞めよう!人生100年って言うなら、今が折り返し地点でしょ? ここからは私の時間、夢を叶える時間を作ろうって」
…いや、もう聞いた時には彼女のバイタリティーに驚きました。同時にそれまでどちらかといえば「疲れた」「やってられないわ」といった愚痴が多かった彼女が、生き生きとしてビールのジョッキを置いて「毛糸もね、自分で染めたりするの、微妙な色がでてニュアンスっていうのかな、すごく楽しいのよ」と顔を輝かせるのに、こちらまでなんだか「よし、頑張ろう」って気持ちになりました。
人から見たら小さな夢。今は口にはしていない私の夢。心にあたためている夢の卵。しばらく考えている人も、すぐに答えた人も、います。あなたの夢はなんですか?
「私もいつか」夢がある!
▽へそくりは夢の実現への第一歩!?
子どもが独立したら、1階を改造して小さなケーキ屋さんをやりたいです。酔っ払うと夫に「私の夢なんだよね」と話すんですが、笑いながら「はいはい、わかってるよ」ってまともに聞いてくれないけど。もともとパティシエになりたかったんですが、固い仕事を望む両親に言われるままに栄養士になって、今はどちらかといえば経済的に必要だからやっています。家計費の足し、教育費の貯蓄以外に、自分なりの積立をしていて、へそくりというか、夢貯金! 今はまだ、子どもは4歳と8歳。ずーっと先のことだけど、週末ごとに話題のスィーツ食べては密かにメモや記録をとってます。そして、少しずつ貯まる通帳見ては「いつか、きっと」と密かに思ってるんです(笑)退職した夫がヒマこいてる頃、私はきっとケーキ焼いてます!!!(Nさん/子ども 4歳・8歳)
◇ ◇
▽平凡だけど叶えたい夢
ありがちで申し訳ない感じなんですけど、夢は日本一周。夫とは10歳が離れていますが、65歳で退職したら、私も仕事を辞めて、ふたりで思う存分旅行がしたい。実を言えば夫とも、お互いにひとり旅をしている途中で出会ったんです、あれはけっこうロマンチックでドラマチックだったなー、と笑い話にしている夫ですが(笑)。もちろん、子どもを連れて旅行に行く今も、年に2回の楽しみですが、1回は帰省だし。そういう計画性のある旅行ではなく「あてもなく、気ままに」旅がしたい。出会いを笑い話にしている夫ですが、この前子どもが寝てから、ふと「いつか」って話してみたら、笑うどころか「そうだなぁ、いつもせわしないから。子育て終わったら、ふたりでぐるーっと日本一周、いいかもな」って。それが私の夢です(Uさん/子ども 2歳)
これだって「夢」なんです
▽社長になる
私の夢は、実を言えば「女性初の取締役になること」つまりは出世です! 夢がない?でもコレが私にとっては大きな夢なんです。中小企業ですが、取締役はおろか、役員にも女性はまだいません。でも企業の雰囲気は多少変化してきて、管理職への道は開いています。まだ子どもも小学校低学年ですから、大変ですが、キャリアアップのための講習を週末に受けたり、後輩たちとの飲み会も積極的に参加しています。出世には仕事の成果と同時に、やはり人脈も必要な会社なので。虎視眈々と狙っているんですが、まずは管理職へ、そして出世レースに必ず乗ってみせます!(Aさん/子ども 8歳)
◇ ◇
▽私の城
自分の部屋を持ちたいです。子どもが独立したら、夫と別々の部屋にして、思いっきり自分好みの部屋にしたい。子どもの頃から大好きだった、花柄のカーテンやパステルカラーの壁紙にして、今はしまいっぱなしのドールハウスを飾りたい。その部屋でドールハウス作りをしたり、ドライフラワーとか、ステンドグラス作りとかもやってみたい。別に夫とうまくいってないわけではなくて、単純に「自分だけの、自分の楽しみだけの場所」が欲しいです。老後の夢?かな(Aさん/子ども 5歳・9歳)
◇ ◇
▽輝いてみたい
小さなライブハウスでいいので、ジャズバンドを組んで活動したいです。お客さんを前にして、スポットライトを浴びて、思いっきり自由に音の世界を泳ぎたい!…って、今は聴くだけだけど、学生時代からバンドやってて、結婚を機にすっかりピアノともご無沙汰ですが。年齢とか性別とか関係なく、いい仲間を見つけて、そんな活動ができたらなぁって、たまにホント夢のように思うことはあります…。だけど、家族が健康で、今の仕事を勤め上げて、定年して年金生活でノンビリ暮らすっていうのも、まぁそれも夢といえば夢ですね。だって、定年後に働かずに晴耕雨読とかって、実は贅沢なことですよね(Yさん/子ども 5歳)
ママだって夢があるさ!
「大きくなったら何になりたい?」
「あなたの将来の夢は?」
親が子どもに繰り返し聞く言葉です。でも、私たちはどうでしょうか。考えてみたら、私たちだって「将来」がある。子どもの成長と共に、私たちの時間は減っていくのではなく、増えていくものです。そこに夢はありますか?
現実的な夢もあれば、果てしない夢もあるでしょう。人に笑われちゃいそう、なんて思う小さな夢だって、やっぱり大切な未来への希望です。いずれにしても、ママでもない妻でもない、誰でもない自分が心の中に持つ「夢」…。叶う日がくるといいですね。