宿泊者数、前年比75%減の衝撃… ウズウズウズ…もう我慢の限界や! 別府市がPR動画で反撃開始

黒川 裕生 黒川 裕生

日本一の温泉地として知られる大分県別府市が、長期化するコロナ禍でとうとう「ウズウズの限界」を迎えた。働く人の実に9割近くが宿泊業や飲食業を含むサービス業に従事している別府市だが、その事業者の多くが3月上旬から実質的な休業状態が続いているというのだ。兎にも角にも「おもてなしがしたい!」という気持ちだけでも発信しようと、主要観光施設のスタッフや市長が総出でPR動画を制作。「まだ大手を振って『来てほしい』とは言えないけれど、お待ちしています」という観光都市の複雑な思いを詰め込んだCM動画を公開し、注目を集めている。

「城島高原パーク」篇

スタッフA「城島高原パークには」

スタッフB「ストレスを発散したくてウズウズしている皆さんのための乗り物が、たくさんあります!」

若者「在宅勤務やリモート打ち合わせによるストレスはーっ!バードマンでバーっと吹き飛ばしてやるー!!うわあああああああ!!!!!!!」

「地獄めぐり その2」篇

女将A「別府の観光施設では」

女将B「ソーシャルディスタンスを意識して営業中」

女将A「そんな私たちの気持ちが詰まった」

女将ABC「別府ソーシャルディスタンス饅頭、新発売!」

女将C「12個入りの箱に、6個だけ入れて売っちょんので!」

回る女将ABC「ソーシャルディスタンス!ソーシャルディスタンス!」

「高崎山」篇

スタッフA「私たち人間とは違い、野生のサルには『ソーサルディスタンス』という概念が、まだありません…」

スタッフB「だから無邪気に密集している姿を見ると、なんか…うらやましくて…泣いちょらんです!」

ナレーション「高崎山、おもてなし再開!」

エサに集まるサルたち「キーッ!キーッ!キーッ!」

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このたび公開された「別府温泉おもてなし再開CM」には、12の主要観光施設のスタッフが出演し、明るい(そしてちょっと捨て鉢な)ノリで施設の推しポイントや感染対策を全力アピール。CMは全16タイプにも上り、1本にまとめた動画の長さは優に8分を超える。

ライバル関係乗り越え一致団結PR

別府市によると、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、7月の市内の宿泊者数は前年比75%減、8月も同76%減と深刻な状況が続いている。今後の動向を見通せない中、「それでもお客様をお待ちしています」という切実な思いを伝えるため、地域一丸となってCMを作ることにしたという。

「過去の別府はお互いの施設がライバル関係でしたが、熊本地震(2016)の際に協力し合える関係性が生まれたことで、今回の企画も実現することができました」と同市の担当者。「自分たちの強みを生かして、コロナ禍にあってもワクワクを伝えていきたいと考えています」

企画に参加した施設関係者らは「別府の町全体が、昼も夜も完全に停滞している感じ」「なりふり構っている余裕もないのが実情」「このCMによって、別府市に魅力的な場所がたくさんあるということが伝われば」などのコメントを発表。長野恭紘市長も「しばしば『命が大事なのか、経済を回すのが大事なのか』という二者択一を迫る議論を耳にします。けれど、毎年900万人のお客様が訪れ、働く市民の90%が観光に関わる別府では、命と経済は密接につながっています」とした上で、「下を向いてばかりはいられません」「お客様の数を増やすというよりも、別府温泉のファンをつくっていかなければいけません」と、考え方を切り替えてピンチを乗り越えようという決意を語っている。

■特設サイト「別府温泉おもてなし再開」

https://uzuuzu.gokuraku-jigoku-beppu.com/

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