大阪の老舗劇団が「ミヤコ蝶々」「唄子&啓助」を無料で動画配信 連休中はお家でミュージカル?

八木 純子 八木 純子

 創立31年目を迎えた劇団「SHOW-COMPANY(ショー・カンパニー)」は秋の芸術祭シーズンに向けて梅田芸術劇場シアター・ドラマシティでの公演を予定していましたが、コロナ禍で中止。そこで、多くの人に歌って踊って笑って泣ける楽しい作品を届けたいと、敬老の日(シルバーウィーク)企画として、大阪ゆかりの人物を描いた過去の3作品を無料で動画配信する。

 「SHOW-COMPANY」を主宰するのは阪上めいこさん。大阪出身で中学生の頃から演劇に魅了され、短大在学中、関西芸術座の研究生となると、卒業後は演劇集団「円(えん)」へ。その後、ミヤコ蝶々新芸スクールを経て、1989年に「SHOW-COMPANY」を設立しました。

 阪上さんはなんと、ミュージカルの脚本、演出を担当し、主演女優を務める多才ぶり。今年で31年目を迎えていますが、オリジナル作品を全国で公演、阪神淡路大震災の翌年に兵庫県で初演された消防士の物語「ファイヤーマンの祈り」など名作もたくさん生まれています。

「We Are The World」に刺激を受け

 そもそも「SHOW-COMPANY」を起ち上げるきっかけは1985年、アフリカの飢餓と貧困を救おうとマイケル・ジャクソンら有名ミュージシャンが立ち上がったキャンペーンソング「We Are The World」の活動により、音楽や芸術で世界を変えることができることに刺激を受けたからだそうです。

 そして、メッセージ性のあるオリジナルミュージカル作品を発信したいと決意。孤独を感じている人たちに、生きていく力となるような作品を届けたいと思うと同時に「みんな1人じゃない」ということを伝えたかった、といいます。

配信3作品は「文化庁芸術祭参加作品」

 今回、無料配信するのは、大阪をゆかりとする3作品です。「唄子と啓助」(2019年10月、シアター・ドラマシティ)は劇団30周年記念として上演され、話題を呼びました。続いては阪上さんの師匠でもあったミヤコ蝶々を描いた作品。漫才師からテレビ番組「夫婦善哉」の司会者を経て、名女優となった蝶々さんの涙と笑いの人生を描いた「蝶々さんの日記」(2017年10月、近鉄アート館)です。

 さらに、もうひとつは「愛が降る街~岩本栄之助物語」(2003年10月、大阪市中央公会堂)というタイトルで、こちらは大阪のシンボル「大阪市中央公会堂」を多額の私財を投じて寄付後に倒産し、その後ピストル自殺した北浜の風雲児を描いたものです。 

 阪上さんは「このたび、配信する3作品はいずれも文化庁芸術祭参加作品で実在の人物をモデルにしています。お子さまからご高齢の方まで、みんなが楽しめる内容です」と自信を持って、オススメしています。

 「この時期、敬老の日のプレゼントとして大正・昭和を生きてこられたご両親や、祖父母の方々をはじめ、高齢者施設での少人数でのご観劇、コロナ禍で誰にも会えなくて寂しい思いをしている方々にもぜひ、ご覧になっていただきたい。泣いて笑って心を揺らし、生きる力を活性化して頂ければ幸いです」

 この秋は、わが家で「上方ミュージカル」を楽しむのもいいかもしれませんね。配信は10月末まで予定。

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