個人で猫ボランティアをしている人の家に、開いていた窓から入り、飼い猫のごはんを食べに来た子猫がいた。まったく出ていく気配がなかったが、飼うこともできず里親を募集した。野良猫だが人なつっこい猫だった。
ボランティアの家に入ってきた子猫
千葉県に住む伊藤さんの近所に、個人で野良猫のTNR活動をしているボランティアのAさんがいた。家の庭先にフードを置いて野良猫を餌付けし、懐いたら不妊手術をして、元の場所に戻していたという。
2019年9月、4匹の子猫が近所の空き家の軒下から顔を出していた。気になったので様子を見ていたら、10月には隣の家の庭にいたという。11月下旬、たまたま空いていた窓から4匹のうち1匹の子猫が入ってきて、飼い猫のために置いていたフードを食べていた。子猫は猫用のトイレで用を足し、以前から住んでいたかのようにふるまった。ただ、そのAさんは数匹の猫を飼っていたので、それ以上飼うことができず、チラシを配って里親を探した。
伊藤さんは、2019年5月に今住んでいるところに引っ越した。それまではアパートで暮らしていたので猫を飼えなかったが、実家ではずっと犬を飼っていて、動物が好きだった。ただ、仕事をしているので犬の散歩は負担が大きく、猫なら飼えると思ったそうだ。
「猫を飼うなら保護猫がいいと思っていました。実家では、保護犬を飼っていたことがあり、保護猫のことも知っていました。ペットショップで子猫を触ってみたこともありますが、殺処分される猫もたくさんいるので、保護猫を譲渡してもうらことにしたのです」
子猫との出会い
伊藤さんは、大手スーパーの保護猫譲渡会にも何度か行ってみた。しかし、譲渡審査に1カ月くらいかかることもあり、あまり気乗りしなかった。子猫がいいと思っていたが、3歳くらいの成猫しかいなかったのも理由のひとつだ。
「子猫のほうが懐きやすいと思いました。高齢だと、早く病気になってしまうかもしれないという不安もありました」
12月初旬、伊藤さんは、近所の猫ボランティアのAさんが子猫の里親を募集しているチラシを目にした。車で10分くらいのところだったので、すぐに見せてもらいに行ったという。
「体重800gくらいの可愛い子猫でした。Aさんが寝ていると、近くにすり寄って寝る、人懐っこい子だと聞きました」
伊藤さんは、その場で子猫を譲渡してもらうことにした。すぐにでも引き取りたかったが、「猫風邪とお腹の虫の駆虫が終わるまで待ってくれ」と言われたという。
待ちに待った猫との暮らし
猫風邪がなかなか良くならず、予定より一週間遅れて伊藤さんのもとに来たのだが、その間、伊藤さんはやきもきして待っていた。
12月中旬、伊藤さんははやる気持ちを抑えつつ。子猫を引き取りに行った。名前はペティくんにした。
家に来た当初、ペティくんは、ケージの中から出てこないで、同じ場所でじっとしていた。ごはんもちょこちょこしか食べず、まだ鼻水や鼻詰まりも完治していなかった。しかし、年が明ける頃にはすっかりなれて、かまってちゃんになった。
伊藤さんや伊藤さんのパートナーには、すりすりしたり、膝の上に乗ってきたりする。フェルトのボールが大好きで、投げてあげると持ってくる、犬のように遊ぶ猫なのだという。
伊藤さんが仕事に行く時は寂しそうに鳴くが、帰ってくると必ず玄関のドアの前で待ってくれている。
ペティくんの兄弟は、2匹は行方不明になってしまったが、片目を失った猫が現れた。ボランティアのAさんは、「この子は里親が見つからない」と思い、自分で育てている。