真夏の炎天下、大阪府に住む知華(ちか)さんは、買い物の帰り、街路樹のところに1匹の子猫がいるのを見つけて保護した。はじめて会ったにも関わらず、ずっと前から知っていたかのように甘えてくる。しかし、知華さんは4匹の猫を飼っていたので、さらにもう1匹飼うのは無理だと思った。
街路樹のところでたたずんでいた猫
2009年8月、大阪府に住む知華さんは、買い物の帰り道、自転車に乗って遊歩道にさしかかった。街路樹のところにぽつんと1匹の子猫がいたので、「あれ?」と思い、自転車を停めると、子猫が駆け寄ってきた。ニャアニャア鳴いて足元から離れない。「甘えん坊だな」と思い、抱き上げたという。捨てられたのかもしれない。
知華さんは、スコティッシュフォールド2匹と自分で保護した猫を2匹、合わせて4匹の猫を飼っていた。他にもたくさんの猫を保護しては譲渡していた。
「この時も子猫を2匹保護していて里親を募集していたので、遊歩道で見つけた子猫も里親を探すつもりでした」
最後の子にしよう
動物病院に連れて行くと、生後2カ月くらいで少しやせていると言われた。真菌を持っていたが、元気だったという。
名前はチョコちゃんにした。もともと保護していた2匹の子猫はすぐに里親がみつかったが、チョコちゃんは真菌の治療中だったので、譲渡サイトに掲載してもなかなか希望者が現れなかった。
「いくら猫が好きでも、さすがに5匹は飼えないと思いましたが、毎日一緒にいるうちに、いつの間にか離れがたくなっていたのです。すごく人なつっこくて、手離せない。何か他の子と違っていました。でも、これ以上は無理。この子を最後の猫にすることにしたのです」
その頃、チョコちゃんにも里親希望者が現れたが、知華さんが自分の気持ちの移り変わりを説明すると、先方も理解してくれたという。
円満な多頭飼いの秘訣
チョコちゃんは、おおらかで明るい猫で、先住猫に「遊ぼう」とぐいぐいせまった。末っ子らしくて甘えん坊、他の猫をかまっていると、すぐに「私もかまって」とやってくる。ベッドでくつろいでいる子がいても、自分がそこで眠りたい時は、遠慮なく横取りする。先住猫たちは、「しょうがないな」と譲ってあげる。黒猫のクーちゃんとは特に仲が良く、クーちゃんがチョコちゃんのグルーミングをしてあげる。
5匹の猫と暮らす知華さん。多頭飼いがうまくいくコツは、1匹1匹と向き合う時間を大事にすることだという。スコティッシュフォールドのぷぷちゃんとムギワラ猫のキララちゃんは、みんなの前では知華さんと遊ばないが、1匹だけ部屋に入れて遊ぶとゴロゴロ喉を鳴らして喜ぶのだという。人が大好きなチョコちゃんは、いつだって甘えん坊だ。