おばあさんが亡くなって遺族が十数匹の猫を飼育放棄…テリトリー争いの末に保護された猫

渡辺 陽 渡辺 陽

独り身のおばあさんが家の中で十数匹の猫を飼っていた。ところが、おばあさんが亡くなったのを機に遺族がすべての猫を飼育放棄して外に出した。近隣の人が世話をしていたが、外の世界で生きていくために猫たちはテリトリー争いをするようになった。

おばあさんが亡くなって飼育放棄された猫たち

神奈川県に住む松根さんは「てと」ちゃんという猫を飼っている。2012年秋、近所に猫を多頭飼いしている独り身のおばあさんがいたが、おばあさんが亡くなると遺族が猫たちを家の外に追い出した。

全部で十数匹もいて、多頭飼育崩壊のような状態だったという。近隣には猫好きの人が多かったので、「猫に罪はないから」と、みんなでごはんをあげたり、庭に小屋を設置したり、できるだけのことをした。

怪我をした猫

松根さんはプッチちゃんという犬を飼っていたのだが、プッチちゃんの散歩をしているとてとちゃんが近づいて来た。プッチちゃんは、嫌がるそぶりも見せなかった。

ある日、いつもと同じように散歩をしていたら、近寄ってきたてとちゃんは、前脚に怪我をしていた。松根さんは抱き上げて保護し、動物病院に連れて行った。てとちゃんは約1歳、猫に噛みつかれて怪我をしたようだった。たくさんの猫が急に外に出されて、テリトリー争いが起きたようだったという。

「また怪我をしても困るし、うちの子にしようということになったんです」

ポジションは女王様

てとちゃんは、先住猫のけんしろうくんとすぐになじんだが、まるで女王様のように振舞っているという。

「なんでも欲しいものを自分のものにするんです。けんしろうを手で追い払って、寝ている場所を奪ってしまうこともあります。でも、けんしろうは優しいから怒らずに譲ってあげるんです。そのくせ、いつも私の後をついて歩く甘えん坊でもあり、必ず私のベッドに入って寝ます」

個性豊かな松根家の犬と猫。てとちゃんがけんしろうくんにわがままを言っても、みんなうまく付き合って調和している。その掛け合いが面白いのだという。

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