大型、中型、小型…犬の区分は→「抱けるから小型犬」ではありません!<ペットショップ編>

おもしろ業界用語

平藤 清刀 平藤 清刀

犬といえばペットとして飼われる動物の定番だが、近年の猫ブームに押されて影が薄くなりがち。今回はペットとしての犬と、人間のために働く犬の両方にまつわる用語を選んで、ペットショップ店員のIさんに解説をお願いした。

大型犬・中型犬・小型犬の基準は何?

何の気なしに大型犬とか小型犬と呼んでいるけれど、果たしてどこで線引きされているのだろうか。見た目で分けるなら、見る人によって境界があいまいになってしまいそうだが。

「簡単にいうと体重別です。数十キロまで育つ犬種を大型犬、10キロ未満までを小型犬、その中間的な20キロ前後までを中型犬と呼びます」

一例をあげると、大型犬はゴールデン・レトリバーや秋田犬、中型犬はウェルシュテリアや紀州犬、小型犬はチワワや柴犬など。

もっとも体重で区別するといっても、小型犬が太り過ぎたら中型犬になるわけではない。

「当然ですけど、健康に育った場合の標準体重です(笑)」

余談だが、筆者が警備会社に勤務していた頃のこと。

あるイベント会場で「ペット同伴禁止。ただし小型犬は、抱いていれば入場可」となっていた。そこへやってきた中年の御婦人。大きなコリーを両手で抱きかかえ「ふー!ふー!」と息を切らせながら入ろうとする。

「大型犬を連れてのご入場はできません」と注意すると「抱いてるじゃないのっ!」とご立腹。「抱いているから小型犬だ」という珍説で抵抗されたことがあった。

「大型犬・中型犬・小型犬の代表的な犬種ってだいたい決まってますからね、それで分けたらよかったですね」

救助犬、盲導犬、聴導犬……人のためにはたらく犬たち

ペットではなく、人の役に立つために訓練された犬もいる。

■救助犬(災害救助犬)

地震で倒壊した家の下敷きになった人や山で遭難した人を探したり、あるいは水難救助に活躍したりするなど、主として人命救助を行う。救助犬になるために犬種や血統の制限はなく、判断力と集中力のある個体が適しているとされる。

■盲導犬

人のためにはたらく犬といったら、真っ先に思い浮かぶのが盲導犬。視覚が不自由な人と一緒に歩いて、段差や障害物の有無を知らせ、歩行をサポートする。

■聴導犬

聴覚に障害のある人の生活をサポートする犬。電話の呼び出し音や玄関のチャイムなど、生活音が聞こえない人の耳となって情報を伝える。

■介助犬

障害のある人の生活をサポートするという点では、仕事の内容が盲導犬や聴導犬と似ているかもしれない。だが、主人に代わってドアを開けたり、欲しいものを手元まで運んできたりするなど、求められるレベルが高度になる。

■警察犬

嗅覚を活かして人が歩いた跡をたどったり、抵抗する容疑者に飛び掛かって制圧したりして、警察活動のサポートをするために特別な訓練を受けている。

   ◇   ◇

最後に、よく耳にする用語をいくつか挙げておこう。

■血統書

純血種であることを証明する書面で、代表的な登録団体として一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)、一般社団法人日本コリークラブ(JCC)、社団法人日本警察犬協会(PD)がある。「血統書=価値がある」と思われているせいで、近年は偽造の血統書が出回っているという。

「申請書類が整っていれば、血統書は発行されます。申請時にDNA検査を義務付けていますが、それでも偽造を完全に阻止できていないのが実情です」

■ドッグフード

犬用の餌で、犬が食べやすいように工夫され、必要な栄養素が含まれている。だが、ドッグフードには、安全性を規制する法律がない。そのせいで、成分表示を偽装する製造業者が後を絶たないという。

■ドッグタグ

首輪につける金属製のプレートで、犬の名前や住所などが刻印されている。犬が迷子になったとき、身元が判明しやすい。

ちなみに軍人が首からぶらさげている「認識票」も、俗にドッグタグと呼ばれる。

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