小っちゃいおててをほっぺにあてて、「ぷう~」?「ニコニコ」?としたかと思うと、精一杯背伸びして両手をパタパタ…。そんな愛らしいラッコさんからの「残暑お見舞い」が酷暑に疲れ切った人たちの心を癒やしています。
そのラッコさんは、三重県の鳥羽水族館で暮らす、メスの「メイ」ちゃん(16歳)。今月23日、公式ツイッターが「水温10℃の世界から残暑お見舞い申し上げます!」と動画をアップしたところ、1.2万いいねとともに「も~可愛すぎ~」「ひんやりした風が届きました」「飼育員さんとのやり取りも微笑ましくて素敵」との声が続々と。もう、そのしぐさや醸し出す雰囲気にみんなメロメロです。
動画に写っている担当飼育員の南理沙さんに聞きました。
―メイちゃん、すごく芸達者ですね!
「はい。ラッコは頭がいいので、以前に当館にいたラッコも芸はしていましたが、メイは他の水族館・水族園のラッコたちと比べても“別格”です。10種類ぐらいはあって、両手を胸の前で合わせる『いただきます(ごちそうさま)』など基本の芸のほかに、飼育員ごとにオリジナルの芸もあるんですよ。イチオシはガラス面に貼り付けたエサのイカの耳をジャンプして取る大技です」
―そんな引き出しの多さ!にしてもこのパタパタする動き、可愛すぎます。
「基本の『バンザイ』をしてた時に、タッチする私の手を動かしてみたらどうするのかな?と思って振ってみたのがきっかけです。そしたら私の手に触れようと一生懸命パタパタしてくれて…。お客さんの反応も良いので、私のオリジナル芸になりました」
―南さんのことが大好きなんですね~!お客さんの方を向いて芸をするのもすごいです。
「メイちゃんは鳥羽水族館生まれで、人間になついているのかもしれませんね。私は3年目でまだまだなんですが、他の飼育員はベテランで、メイは飼育員とともに年を重ねてきたというか。信頼関係が出来上がっているんだと思います」
ベテランの中に新人として入った南さん。「最初は意思疎通も悩みました。でも、私に分からないことは、メイちゃんにも伝わらないよな、と。ほめるときもダメ出しするときも、目を見てしっかりコミュニケーションを取るよう、心がけています。でもついつい『可愛いからヨシ!』とか、甘やかしちゃうんですけどね」と声までメロメロに。
「私にとってのメイちゃん、ですか?もう、『癒し』ですね~!」と南さん。とはいえ、ラッコの平均寿命は20歳ぐらいだそうで、メイちゃんも人間なら「おばちゃん」といったところ。国内で飼育されるラッコは高齢化と減少の一途をたどっており、南さんは「緊張感と責任感というか、しっかり育てて、いつまでも元気でかわいいメイちゃんを多くの方々に見て頂きたいな、と思っています」と話してくれました。