2024年に、40年ぶりに一新される1万円札のデザインに実業家・渋沢栄一が採用され、盛り上がる地元の埼玉県深谷市。東京駅とそっくりなJR深谷駅の駅舎もそうだが、階段を下りた先に設置されたからくり時計も、「シュールすぎる」とSNS上で話題になっている。埼玉県民ですら初めて見たときはもれなくギョッとし、子どもも逃げるというからくり時計の由来とは-。
時計の正式名称は「ふっかちゃんからくり時計」で、高さ約4メートル。ふっかちゃんとは、名産の深谷ネギの形をした角を持つ、ウサギのようなシカのような同市のゆるキャラ。普段は、そのふっかちゃんが台座の上にある80センチ四方のアクリルケースの中でクルクルと回っているが、午前7時~午後8時と午後11時に限り、0分ちょうどになるとふっかちゃんを押しのけて下からプラスチック樹脂製の渋沢栄一翁の胸像がせり上がってくる。翁は両手に持った日米両国の友好を願う青い目の人形と日本人形を愛おしそうに見つめ、ゆっくりと1回転。1分後、静かに下りていく…。
深谷市によると、時計は2011年度の渋沢栄一の没後80周年記念事業の一環で、2012年2月に設置。当初は渋沢栄一の偉業を記したパネルを設置する案もあったが、「実用的で市民や訪れた人たちが楽しめるように」と、からくり時計になったという。威厳を漂わせた写真や絵画もさまざまある中で「一番親しみやすいものを」と、渋沢栄一記念館が所蔵する写真をもとにデザイン。からくり時計にしては動きが少なく、どちらかといえば地味な方だが、ふっかちゃんとの見た目のギャップも相まってインパクトの大きさは折り紙付きで、9日の新紙幣デザイン発表後もテレビのニュースで流れたほか、ツイッターに写真や動画が投稿され「子どもが絶対に見に行きたがらない」「夜見たら怖い」と話題になり、翁の業績を訪れた人やネット民たちの心に刻んでいる。
にしても、映画「翔んで埼玉」「『日本一のうどん県』奪取計画」など、ここ最近アツさを増す埼玉県。同記念館にも問い合わせの電話が鳴りっぱなしといい、担当者は「ますます翔んでおります!これを機に埼玉の奥深~い魅力を全国の方に知ってもらえたら」とうれしい悲鳴を上げていた。