「ハローキティ」が長く愛される理由 80年代手前には一時人気が低迷も

桑田 萌 桑田 萌

 日常的に使用される「かわいい」という言葉は、キティちゃんのために生まれたのではないだろうか。真っ白で丸い顔、思わず抱きしめたくなるフォルム。元祖「愛されキャラ」は、キティちゃんであるといっても過言ではない。

 そんなハローキティの45年の歴史をたどる「ハローキティコレクション展」が美術館「えき」KYOTOで開催されている。キティちゃんが、今や「王道キャラクター」としてその座に君臨し、変わらず愛され続けている理由は何なのか。その秘密を、探ってみたい。

 キティちゃんが誕生したのは、1974年のこと。がま口型の小さな財布「プチ・バース」に描かれたことで、初めて登場した。

 70年代に多くグッズとして販売されたのは、小学生の女の子が学習用に使いやすい文具用品。「学校などで日常的に愛用する中で、嬉しいときも悲しいときも、いつでもキティちゃんがそばにいる。一緒に成長する。そんなコンセプトがありました」と同館学芸員の天木恵子さんが話す。

 当時、キティちゃんのスタイルは一貫して同じだった。胴体は背を向けて座り、こちら側に振り返り目線を向ける姿勢。このスタイルになじみ深いファンが多いのではないだろうか。

 そうして爆発的に人気を博したキティちゃん。しかし、80年代手前に人気が低迷し、存在感に陰りを見せ始めた。「耳がとがっていて怖い」「ずっと同じ服を着ていて飽きた」といったユーザーの声もあったという。

 そんな状況を打破したのが、1980年に3代目デザイナーに就任した山口裕子さん。山口さんは、キティちゃんのぬいぐるみを見ているうちに、平面に描かれるイラストにある黒の罫線がないことに気づいた。そこから構想を得て、「イラストを描くときも黒枠をなくして、ぬいぐるみのように抱きしめたくなるデザインを」とキティちゃんに柔らかさを加えた。また、小学生だけでなく、高校生や大人も楽しむことができるよう、ファッショナブルな商品も手がけたという。

 

 その結果、キティちゃんは再びブレイク。80年代に普及し始めた家電製品や、90年代での国際化の波に乗り、キティちゃんは多方面へと進出。
 今や他のアニメキャラクターや地域とのコラボレーションを行うなど、活躍の幅は広い。

 

 その時代にマッチしたファッションやスタイルを取り入れることで、「今」を生きる人々のそばに居続けるキティちゃん。これからどんな顔を見せてくれるのか、時を経るごとに変化し続けるキティちゃんを楽しみたい。

ハローキティコレクション展
会期:2020年8月8日(土)~9月1日(火) 10:30~19:30<事前日時指定の予定制>
残券がある場合は当日券販売あり。
※会期中無休 
会場:美術館「えき」KYOTO
入館料:高校生以上800円、小・中学生500円
※ローソンチケットでの事前日時指定の予定制。
ローソンチケット「Lコード51878」。定員に達した日時は販売終了になる。詳しくは美術館公式ホームページに記載。
©1976, 2020 SANRIO CO.,LTD. APPROVAL NO. SP610011

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