世界文化遺産・国宝姫路城(兵庫県姫路市)の城内に張り出されたソーシャルディスタンスを呼び掛ける注意書きが話題です。ソーシャルディスタンスという言葉を「間合いをとる」に変換し、国が推奨する距離2メートルを実演するモデルには侍2人を採用するなど、城郭らしい渋いセンスにうなります。2人の張り詰めた空気は一触即発かと見ているこちらも手に汗握ります。
デザインは1種類のみ。緊急事態宣言解除後の6月15日から、入城口や大天守など城内10カ所に掲出しました。7月頃から見学者らがSNSに写真付きで投稿をし始め、中には10万いいねがつくほど注目を集めたツイートも。刀の種類から時代を考証したり、この後の戦いの展開を予測したり、盛り上がりをみせています。
姫路城管理事務所の担当者に話を聞きました。
ーSNSの反応はご存じでしたか?
「スタッフが気付きました。こんなに話題になり驚いています」
ーどなたの発案ですか?
「ソーシャルディスタンスを確保するために何か考えようということになり、姫路城の管理運営を受託している会社のスタッフがアイデアを出しました。イラストはillst Acというフリー素材のページからダウンロードし利用させていただいています」
ーなぜ「間合い」という言葉を?
「考案したスタッフが中学・高校と剣道部だったからです。城内ではあまり派手な注意書きはできないので、おとなしくてもインパクトのあるものを考えました」
姫路城では現在、公式ホームページで「姫路城へご来城される皆さんへのご協力のお願い」として、マスク着用や消毒、さらに熱中症対策など注意を呼び掛けています。もともと姫山と鷺山の小高い丘の上に位置し、内部は約110段の急な階段があるため、熱中症や体調不良を訴える来城客が毎年いるそうです。そこに今年はマスク着用が重なり、「例年以上にご来城のみなさんの身体に負荷がかかることが予想されますのでご注意いただきますようお願いします」。
「他のお客様と適度な間合いを取り、頃合いを探りながら、お越しいただければと思います」(担当者)。