新型コロナウイルス感染拡大とともに、不要不急の外出を控えて通販を利用することが増えています。荷物がきちんと届くのは、物流を支えてくれるドライバーや配達員の人がいてくれるからこそ。感染拡大を防止して再配達の手間を少しでも減らすために、置き配や非対面受け取りサービスを利用しつつも「ありがとう」の気持ちは伝えたい。そう考えたイラストレーターの小林マキ(@ikam1225)さんが作ったはり紙が話題になりました。
はり紙には、荷物をはさんで配達員さんと受け取る人が目をあわせて向かい合っているイラストに、手書きで「配達の方 いつもありがとうございます。」とあります。小林さんは、イラストをプリントして使えるように画像を公開しています。
リプ欄には「こころがこもったイラスト、とっても素敵ですね!配達の人、ほんとにありがたいです~。」「ありがとうございます!是非使わせて下さい」「めっちゃいいですね!私は毎日食材配達を利用しているので、感謝の気持ちを伝えるため、使わせてもらいます!!」「イラストもお気遣いも素晴らしいです!今の時期は感謝の気持ちをいつも以上に持ちたいですね。」と賛同する声が集まりました。そのほかに「物流業のものです。配達員は「ご苦労様」と声をかけてもらえるだけで素直に嬉しいのです。この場を借りてありがとうございます」というものも。フリーランスのイラストレーターとして雑誌や広告などで活動する小林さんに聞きました。
──このはり紙をつくろうと思ったのはなぜですか?
着払いの物があった際に、配達の方がすごく気を使われていたので気になっていたところ、翌朝に配送の方に対する差別のニュースを見て、それはないよねという憤りを感じました。大変な状況のなか、よく思われていないのではないかという気持ちを抱えてお仕事されるのはとてもつらいのではないかと思います。なので、無駄なストレスをおかけしないためにもきちんと感謝を伝えることが必要な気がしてはり紙をつくりました。
今回は身近な配送の方へ向けて書きましたが、医療や介護、保育、流通など自粛生活を支えてくださっているすべての方に対しても同じ思いです。
──「イラストを使わせてもらいます」という方が多かったですね。
思いがけずたくさんの方に反応を頂き驚きました。文字だけでも十分思いは伝わると思うのですが、皆さんが喜んで使ってくださるのを見て、伝えたいことがあるときに、それを助けるイラストの役割について再確認できました。
──イラストでこだわられた点はどんなところですか?
描く際に、どちらも対等になるように、同じ姿勢、同じサイズ感、それから男女どちらにも取れるような中性的な感じにしました。ほかに、忙しくても、夜でも目につきやすいように、太い線でシンプルに描きました。
──なるほど、とてもよく伝わります。印刷用のイラストに文字を入れなかったのはなぜですか?
使う方ご自身の言葉や、手書きの方が温かみがあるのではないかと思ったのと、たとえば、お礼と一緒に「ここに置いてください」などを加えることもあるかなと思い、文字を入れませんでした。
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実際にイラストに色を塗って利用した塩パンとカツサンド®(@seeyouatlunch)さんは、「仕事も保育園もお休みになって子どもたちと引きこもっており、ネットショッピングの回数も増えました。配達してくださる方々に感謝を伝えたくてもインターホン越しでしか対応できずに心苦しく思っているときに、こちらのツイートを拝見しました。子どもたちと色を塗る時間が楽しかったです」と話してくれました。このほかにも、イラストがきっかけになって、お礼のはり紙をつくった人が続々とリプライに集まっています。