8月に入ってからtwitter上で突如現われた「#名画で学ぶ中学受験」。世界の名画とともに“中学受験あるある”大喜利をかますという何ともユニーク?な投稿が相次ぎ、話題を呼びました。テストの点数や偏差値の話題をはじめ、塾弁(塾で食べるお弁当)を作る苦悩、大手塾あるあるネタなど親のぼやきに思わず共感する声も続出。どんな思いでつぶやいたのでしょうか? 実際に投稿された方々にお話を伺ってみました。
算数の苦手な娘の偏差値に仰天! イライラを面白おかしく投稿
まずは、3点の“名画”を投稿した「seven59@中受2022」(@tkna7539)さん。ご自身が気に入っているという作品をご紹介します。
フランスの印象派画家、ピエール=オーギュスト・ルノワールの「絵を描く二人の少女」にこうつぶやきました。
「そう、これあなたの偏差値表。体温表ではないの。」
◇ ◇
――投稿しようと思ったきっかけは
「受験勉強中の小学5年生の娘がいます。Twitterでフォローしている方がたまたま投稿されたのを見て私もやってみたいと思って投稿しました。元ネタはおそらく、以前Twitter上で投稿が相次いだ #名画で学ぶ主婦業 ではないかと」
――「名画で学ぶ中学受験バージョン」ということですね。さてルノワールの名画に込めた、その心は?
「娘は算数が苦手で、体温数値並みの偏差値を持って帰ってきたことがあります。例えば、37とか。微熱?(苦笑)ママ友と『偏差値が体温並みなんだけど!』なんて、笑い合ったこともあったり。そのときのことを思い出して投稿しました。
世間一般で偏差値というと主に大学受験、早くても高校受験で目にするものと思いますが・・・中学受験は小学生の上位20%程度が母集団になるため、高校受験や大学受験では見たことがない低い偏差値が出るんです。中学受験をする親なら誰もが一度は倒れそうになる数値の偏差値を見たことがあるはず(笑)」
――「笑笑 38℃…とかね」といったリツイートなど共感の声もありますね(苦笑)
「そうです。中学受験は子がまだ幼いという理由で親がガッツリ関わります。だからこそ、思うようにいかないもどかしさやいらだちを、面白おかしく投稿をして。それを見たりすることで中受のお子さんを持つママ・パパたちは共感して癒されているんだと思います。また、なかなかリアルな友人には相談しづらいデリケートな話題ですし。匿名性のあるSNSに投稿するのでしょうね」
ネタが止まらなかった・・・30作品近く投稿 癒やされたかも?
続いて、Twitterだけではなくブログにも“名画”を多数投稿された「勉三パパ・中学受験2024」(@juken2024)さんの選んだ傑作です。
フランスの新印象派画家、ジョルジュ・スーラの「アニエールの水浴」にこうつぶやきました。
「結局…地頭か…。」
◇ ◇
――ブログ掲載を含めると30作品近く投稿されていますね。はまった?
「受験を目指す小3の娘がいます。8月1日からTwitter上で流行りだしていたので、それに乗っかった感じです。ネタが止まらなかったです…」
――はまったようですね。さてスーラの名画に込めた、その心は?
「中学受験は子どもがするものですから、どうしたって成長の度合いや、地頭の影響が出てきます。その、やるせない思いを、笑いとして切り取ってみました(笑)」
――「私に似たから?とも思ったり」といったリツイートも。また、2日間にわたり、皆さんの投稿が止まりませんでしたね。
「私もそうですし。中学受験は思ったより過酷で、ともすれば狂気です。誰もが疲れを感じる中、今回の投稿が癒やしになったのではないかと感じます」
投稿に多数の反応 「うちだけじゃないんだな」と元気をもらった
さらに、ご紹介する最後の作品は「みーすけ」(@imymesuke)さんの投稿です。
オランダのバロック絵画を代表する一人、ヨハネス・フェルメールの「手紙を書く女」にこうつぶやきました。
「丸付けしてる間にフォートナイトやり始めた。」
◇ ◇
――投稿しようと思ったきっかけは
「受験勉強をしている小5の男子がいます。たまたま他の方の投稿を見掛けて面白かったので自分でも思いついたものをあげてみました。」
――フェルメールの名画に込めた、その心は?
「作品への思い入れみたいなものを特にないです(笑)」
――宿題の丸付けをしているそばで、お子さんがフォートナイト(ゲーム)をしている…。親から見たらイラッときますよね。「あるある」とリツイートされた方も。
「共感していただきました」
――中受といえば、親の仕事は「宿題の丸付け」のほか「塾弁作り」「送り迎え」でしょうか・・・支える側も大変ですよね。
「中学受験がそれだけ大変で悩みは尽きないものです。投稿が相次いだのは、それをただ嘆くばかりじゃなく面白おかしくみんなで楽しんでお互い頑張ろうというエール的なこともあるのかもしれないですね。私は反応をたくさんいただけたことで『うちだけじゃないんだな』って、元気をもらえました!」
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日ごろお子さんの受験勉強を見守る保護者の方々。イライラしたり、不安になったり。そんな気持ちを“名画”に託し面白おかしくつぶやいて、それを見た同じ境遇の保護者の側からも共感を呼び、ある種の“オアシス”となっている…そんなところでしょうか。
最後に我が家も受験を目指す子どもがいますので。ここで、“名画”に日ごろの思いを込めてつぶやいてみたいと思います。
ノルウェー出身の画家エドヴァルド・ムンクの「叫び」。
「もう1ページ問題用紙があったのを知らなかったって、どういうこと?!」
さて、この心は…「子どもが塾のテストを終えて戻ってきたときのこと。4ページあった問題のうち最後の1ページがあったことをテスト終了数分前に気付いて最後の4ページ目はほぼ白紙だったと、子どもから報告を受けて。思わずつぶやいた“心の叫び”です」
お後がよろしいようで。コロナ禍で暑い夏ですが、めげずにお互いに頑張りましょう!