フローリストの創作活動を支えるフラワースタジオの人気猫…半年も触らせてくれなかったある日、突然甘えんぼに

うちの福招きねこ〜西日本編〜

西松 宏 西松 宏

 大分市府内町にあるフラワースタジオ「Alouette(アルエット)」。観葉植物やアンティーク家具などが飾られている店内からガラス越しに外を眺めて過ごし、道ゆく人たちの人気者なのが、茶トラの「きなこ」(オス、5歳)だ。飼い主でオーナー、フローリストの豊東(ぶんどう)剛さん(46)に話を聞いた。

生後2カ月くらいの野良でした

 きなことの出会いは、僕が独立して店を出して1年ほど経った2015年の梅雨時期。ようやく仕事が軌道に乗り出したころでした。幼いころから実家では保護した猫をたくさん飼っていたこともあり、自分の店を出して落ち着いたら猫を飼いたいなあとちょうど思っていたときだったんです。店の前に並べていた植木鉢の隙間あたりから子猫の鳴き声がしていたので気になっていたら、その数日後、きなこが店の出入口から中へ自分から入ってきたんですよ。まだ生後2カ月くらいの野良でした。

 だけど、勝手に入ってきたわりには、撫でてあげようと思っても触らせてくれなくて怒るし、かといって、外へ出ていくかというと、扉を開けっぱなしにしていても出て行かず…。毎日食事を与え、トイレも置いていたので、居心地がよかったのか、そのまま居ついてしまったんです。来店した女性たちが「きゃー、可愛い」と騒いでも知らんぷり。「美意識高い系男子」といった感じで、「きなこ様」と呼ばれることもありました。

 そんな感じで半年が過ぎました。体を触らせてくれないので、それも仕方ないかなと諦めてかけていました。でも、あるとき名前を呼んだら、僕の元に寄ってきて急に甘えてくるようになったんです。突然、何のきっかけもなくです。何があったの?と僕も目が点になってしまいました。それで病院へ連れていき、去勢手術や検査を受けることができました。

 あるとき、「動物の気持ちがわかる」という方が店にやってきたことがありました。そこで、きなこがどうして僕の店に入ってきたのかと尋ねてみたんですよ。するとその方は、きなこは「安全だと思って入ってきた」と。あと、僕が仕事でいつも忙しいみたいだから、「代わりにここに居て、お客さんを引き寄せて助けてあげる」とも思っているとのことでした。本当かどうかはわかりませんが、それを聞いてとても嬉しかったのを覚えています。

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