絵馬はキンプリだらけ、京都・平野神社がファンの「聖地」に でも実はすごい神社なんです

浅井 佳穂 浅井 佳穂

 「King&Princeのコンサートに行けますように」-。京都市北区の平野神社にこうした絵馬が多く奉納されています。ジャニーズ事務所の人気アイドルグループ「King&Prince(キングアンドプリンス、キンプリ)」の平野紫耀さんファンの間で、この神社が“聖地”として話題になっているようです。しかし、実はこの神社、約千年前から「聖地」として崇敬を集めていたんです。

 平野神社は京都市の北西部にある神社です。近くには金閣寺や立命館大などがあります。京都や近畿の人にとっては桜の名所としても知られています。社務所前の絵馬掛所には、キンプリやそのメンバー平野紫耀さんにまつわる絵馬が多く奉納されています。

 さて、そんな神社にキンプリファンの「ティアラ」と呼ばれる人たちが集まり始めたのは、2018年のこと。中村聡朗権禰宜(ごんねぎ)によると、神社の社号がメンバーの同じ名字のため、参拝者が増えているようです。近畿では平野神社と同様に、大野神社(滋賀県栗東市)にアイドルグループ「嵐」の大野智さんファンが、松本神社(京都府城陽市)も「嵐」の松本潤さんのファンが、参拝に訪れることで知られています。

 新型コロナウイルスの感染が拡大する以前は、土日や祝日ともなると絵馬を求める若い人たちでにぎわいました。朱印を求める人も多く、朱印所前には行列ができたといいます。

 近年にわかに注目を集めている平野神社ですが、実は歴史と格式を備えた由緒ある神社です。かつては奈良の平城京でまつられており、京都には794年の平安京遷都とともに移ってきたとされます。

 平安時代中期には、朝廷が祈願する22の神社の一つ数えられました。そのため、皇室や貴族たちの信仰もあつく、建物の多くは御所の施設を移したと伝わります。

 そんな中の一つに、拝殿と呼ばれる建物があります。拝殿は神前で舞を披露したり、お花見の時期にコンサートを催したりする建物です。この建物は江戸時代前期の1650(慶安3)年、後水尾天皇の皇后、東福門院が寄贈したという由緒ある建築でしたが、残念なことに2018年の台風21号で倒壊してしまいました。

 境内では現在、拝殿の修復工事を実施中で、そのための費用をインターネットでも受け付けています。中村権禰宜は「多くの人にご協力いただければ」と、キンプリファンを含め、さまざまな人に寄付を呼び掛けています。

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