ヤマタノオロチを退治したことなどで知られる日本神話の神様、スサノオが「スニーカーをはいていた」と話題になっている。
きっかけは東京都渋谷区の太田記念美術館によるTwitter上の投稿。
同館は現在、新型コロナのウイルス拡大防止を祈念する内容の「太田記念美術館コレクション展」を開催中。そのPRのためTwitter上に出展する絵画の画像を投稿したのだが、そこに描かれたスサノオがはいている靴がどう見てもスニーカーそのもの!
この投稿に対し「走るの速そう」「スニーカーメーカーとコラボしてほしい」などとスニーカー好きたちが大興奮で反応しているわけだ。
しかし数千年も昔が舞台のはずの神話の神様が、いったいなぜスニーカーをはいているのだろうか?今回、まいどなニュースではこの謎について、画像をTwitter上に投稿した太田記念美術館の日野原(ひのはら)さんにお話をうかがった。
中将:いったいなぜスサノオがスニーカーはいてるんでしょうか……個人的にあの形はリーボックかな?と推測するんですが……。
日野原:いや、あれはスニーカーではないですね(笑)。
中将:え……違うんですか!?
日野原:Twitterでも皆さんから「スニーカーに見える」というお声をいただいていますが、正直なぜこのような大きな反響になったのだろうと驚いております。
中将:神話の時代にあんな形の靴があったんですね……。
日野原:この絵は葛飾北斎の弟子筋の絵師が描いたものらしいので、靴の形は北斎やそれ以前の時代の絵画を参考にしていると思われます。古代の日本や中国の人物を描いた絵を見ていると、たしかにこういう形の靴は出てくるんですね。
中将:素足の上にはいていたり、生地の色味がベビーブルーだったり、すごく現代風なセンスでびっくりしております。
日野原:たしかにこのスサノオみたいに裸足ではいてるのは珍しいな……と思います。
色については何か造詣があってこの色にしたというよりは、おそらく絵師としての感覚的なものでしょうね。それがたまたま現代的な色合いと合致しただけだと思います。
中将:絵師さん、生まれる時代を間違えましたね……。今ならスニーカーブランドのデザイナーとして引く手あまただったかもしれません。
7月10日にTwitter上でこの画像を投稿されてから2日(※インタビュー時点)経ちましたが、ツイートを見て実際に美術館に足を運ばれた方はいらっしゃいますか?
日野原:まだ生の声はお聞きしてないのでわかりかねますが、これをきっかけに興味を持っていただければ嬉しいですね。
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スサノオがはいているのがスニーカーでなくて残念だが、非常に教養の深まるお話をうかがうことが出来た気がする。
冒頭でも申し上げた通り太田記念美術館は現在、約14,000点のコレクションの中から、見ていて心がほっとするような作品や病魔に打ち勝つために作られた作品を選りすぐった「太田記念美術館コレクション」を開催中(7月26日まで)。今回取り上げたスサノオをはじめ見ごたえのある作品が目白押しなので、ご興味のある方はぜひ足を運んでいただきたい。
「太田記念美術館」
所在地:東京都渋谷区神宮前1-10-10
※R山手線・原宿駅表参道口より徒歩5分、東京メトロ千代田線、副都心線・明治神宮前駅5番出口より徒歩3分
開館時間:10時30分~17時30分(入館は午後17時まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌日休館)、年末年始、その他