民家の植え込みにいた子猫…鼻の模様が縁で我が子に 威嚇していた先住猫がメロメロになる可愛らしさ

渡辺 陽 渡辺 陽

 うるるちゃんは、民家の植え込みにきょうだいと一緒にいたところを保護された。鼻のところに一筆書きしたような模様があった。保護団体のブログに掲載された写真を見て、「うちの子だ!」と思った前田さん。すぐに連絡して、譲渡の予約をした。

ノミだらけの子猫たち

 2014年9月24日、兵庫県淡路島の民家の植え込みに子猫が3匹いた。生後10日ほどで、まだ綿毛のようなキトゥンコートに包まれていた。ところが3匹はノミだらけで、中には目ヤニで目が開いていない子もいた。体重は170gくらい。野良猫の母猫が置き去りにしたのか、捨て猫なのか分からなかった。民家の人が保護してくれたが、猫の飼育経験がなく、生後間もない子猫だったので、保護団体の淡路ワンニャンクラブが預かってミルクボランティアが飼育、そして里親を募集することになった。

顔に特徴のある猫

 兵庫県に住む前田さんは淡路ワンニャンクラブ出身の猫を2匹飼っていて、同じようにクラブの卒業生を飼っている人とSNSでつながっていた。

 「すごく仲良くしている人が『前田さんちにおりそうな猫が淡路ワンニャンクラブのブログに載っている』と教えてくれた」

 “おりそうな猫”とは、顔に特徴のある子だという意味。ブログを見てみると本当にそうだった。白猫と薄茶の被毛だが、鼻のところに一筆書きしたほうな黒い模様があった。性別は定かではないが、たぶん女の子だと書いてあった。民家の植え込みにいた子猫で、ミーネという名前がつけられていた。

 9月24日、ブログに掲載されたばかりだったが、ミーネちゃんに心惹かれた前田さんは、すぐに連絡して譲渡を希望した。まだミルクボランティアの手を離れていなかったので、しばらくそのままボランティアが飼育することになった。

育猫を楽しむ

 10月11日、前田さんはミーネちゃんを引き取りに行った。きょうだい2匹は既に里親が決まっていた。とても小さくて、離乳食を食べていたが、1日3回くらいミルクを飲んでいた。前田さんは、ミルクを人肌に冷ましてから飲ませるなど、ミルクの与え方を教えてもらった。

 「3匹の猫を飼っていますが、ミルクを飲ませたことがなかったし、身体も小さいし、本当に大丈夫かなあと思いました。でも、なんとかなりそうだったし、子育てみたいで楽しかったのを覚えています」

 名前はうるるちゃんにした。

 家に連れ帰ると先住猫のうしまるくんだけがシャーっと言ったり、ケージごしにちょんちょんと手を出して威嚇した。しかし、それも半日くらいでおさまった。あむらちゃんとシュシュくんは、「また来たんだ」という感じだった。

小さいけれど一番気が強い

 うるるちゃんはミルクを上手に飲んで、トイレもすぐに覚えた。最初威嚇していたうしまるくんも、その後はまるでイクメンのようにうるるちゃんに接した。ずっとケージのそばにいて、ミルクを飲む時もずっと横に座って様子を見守っていた。日中、前田さんが家にいたのでケージの扉を開けておくと、いつの間にかうしまるくんがケージの中に入って添い寝していたこともある。

 うるるちゃんとうしまるくんは今でも仲良しだ。立場は逆転してうるるちゃんがうしまるくんのお姉さんのよう。うしまるくんが寝ているところに行ってグルーミングをしたり、シュシュくんとうしまるくんがケンカをして、うしまるくんがワーッと声を上げると、うるるちゃんが飛んできてシュシュくんを威嚇する。シュシュくんのほうがずっと大きな体なのに、まったくひるまずにらみつけてなぐりかかる。うるるちゃんは前田家で一番気の強い猫だという。

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