ティナちゃんと2匹の兄弟は、横浜の通称、親不孝通りにいたところを猫好きの女性に保護された。一方、神奈川県に住む吉田さんは、譲渡してもらった保護猫を若くして亡くし3カ月が過ぎようとしていた。里親を募集している猫を展示してくれる動物病院で、吉田さんは子猫と出会った。
親不孝通りにいた兄妹猫
2018年4月、横浜の関内(かんない)にある風俗街の親不孝通りに野良猫の子猫がうろうろしていた。3匹はみんな鍵しっぽで兄妹だと思われた。
子猫たちを保護した女性は、里親探しを手伝ってくれる動物病院に、日中、子猫たちを預けた。里親を探している猫を、その動物病院に通う人が見られるようになっている。
2018年1月、神奈川県に住む吉田さんは、ペットの猫テトくんをがんで亡くした。まだ3歳という若さだった。テトくんも保護猫だった。
「テトと一緒に散歩した公園に行くと、いつもテトのことを思い出しました。知り合いが、里親を募集している猫を展示している動物病院があると教えてくれたので、5月末に行ってみたんです」
猫の譲渡を手伝ってくれる動物病院
動物病院に行くと、「いまは募集中の子はいない」と言われた。6月初旬、動物病院から「茶トラの猫が里親を募集している」と連絡があった。関内で保護された子猫だった。
「貰い手がつかなければ3匹全員もらおうと思いました」
吉田さんの妻は、「まだ気持ちの整理ができていないのに」と反対したが、吉田さんは仕事の合間を縫って子猫を見に行き、帰りに連れて帰った。テトくんが男の子だったので、女の子を希望した。みんな鍵しっぽだったのだが、吉田さんは鍵しっぽの猫が幸せを呼ぶという話を知らなかったので、テトの尻尾に似たシュッとした尻尾の子を選んだ。
妻に言うと話がご破算になると思ったので、黙って話を進めたそうだ。
「譲渡会があることも知っていたのですが、共働きだとなかなか譲渡してもらえないんじゃないかと思ったんです。知らない人に家庭環境を詳しく聞かれたり、譲渡後、写真を定期的に送ったりしないといけないのも煩わしかったんです」
猫を迎えて明るい話題が増えた
妻は子猫を見ると、「ちっちゃ!」といって驚いた。生後3カ月だったが、とても小さな猫だったのだ。「テトのことがあるのに、そんなすぐに次の子を飼うなんて…」と不機嫌になった。
名前はティナちゃんにした。
しかし、いざティナちゃんを飼ってみると、家の中がパッと明るくなったという。
「今日ティナが何をしたとか、こんなところがテトに似ているとか、女の子はここが違うねとか明るい話題が増えたんです」
保護してくれた女性は、動物病院を通じて「もらってくれて有難う」というメッセージと共に大量のキャットフードをくれた。
ティナちゃんは、あまりべたべた甘えるタイプではないが、人が大好き。何をするにもついてくるし、帰宅すると玄関まで迎えに来てくれる。吉田さんには生後5カ月の赤ちゃんがいるが、赤ちゃんがティナちゃんをぎゅっと触ることがある。それでもティナちゃんは怒らず、じっとしているという。
残る2匹の子猫もすぐに譲渡先が決まったそうだ。