あまりに計画性がなく、拙速にすぎる退所劇……手越祐也さんの退所会見に思う

中将 タカノリ 中将 タカノリ

6月23日、元NEWS手越祐也さんがジャニーズ事務所からの電撃退所について経緯を説明するため記者会見を開催した。

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言中、しかも事務所のステイホームキャンペーン中に女性を交えた酒宴開催……。それが絶対悪であるとは言わないが、ともあれ5月26日に事務所から活動自粛処分を下され、ほどなくして退所を決断した手越さん。

いったい彼の胸中にどんな思いが渦巻くのか、どのような未来予想図を描いているのか知りたくて僕は約2時間の長い会見を見守っていた。

会見での手越さんの訴えの要旨は
「僕は嘘がつけない」
「NEWSもジャニーズ事務所もファンも大好き」
「以前から独立を考えており今年3月には事務所と相談していた」
「(週刊文春にスクープされた)会食に行くことはマネージャーに伝えていた」
というあたりだろうか。

やたらと「愛」、「感謝」という言葉を多用して円満退所を強調されていたが、手越さんの退所が円満の内におこなわれたと感じている芸能関係者はほとんどいないだろう。独立後の活動の具体的な準備もほぼ出来ていなかったことは会見で本人が語った通り。「嘘がつけない」のは本当なのかもしれないが、あまりに計画性がなく、拙速にすぎる退所劇だったなというのが僕の印象だ。

その点、同じジャニーズ退所組でも中居正広さんは違った。根回しに根回しを重ねて、レギュラー番組は温存。そして記者会見では故・ジャニー喜多川さんの遺骨をポケットにしのばせるという深慮。ああまでやられてはジャニーズ事務所としても今後中居さんに変な手出しは出来ないだろう。それに比べると手越さんの退所はあまりにもなぁ……と思ってしまったわけだ。

今後、手越さんはどのような活動を展開するのだろうか。またどれほどの活動規模を維持できるのだろうか。会見で本人は各界のリーダー的存在とのコネクションを匂わせていたが、そういう繋がりを持てていたのもジャニーズ事務所という大きな傘の下に入っていたから。個人的な好き嫌いは別にして、トラブルの末に退所した(と世間に思われている)手越さんから距離を置く人もいるだろう。

また退所直後にTwitterやYouTubeのアカウントを開設したことも話題になったが、それは話題性の延長の一時的なリアクションに過ぎない。今後テレビ出演など芸能界の表舞台から遠ざかるを得ない手越さんが、これまでのように華々しいニュースを世間に提供し続けることは至難のわざだろう。

手越さんはいちタレントとしては確かに優れた素材だと思う。歌唱力はしっかりしたものがあるし、キャラクターも立っている。とは言え、エンターテインメントに対する嗜好が細分化した現代において、一部のNEWSファン以外にとっての手越さんは「バラエティー番組でよく見るにぎやかな子」程度の認知度でしかない。とても元SMAP組や嵐のメンバー達と同列に語ることはできない。

今後、手越さんはユーチューバーとしてはある程度成功するだろう。しかし、事務所のパワーバランスが重要視されるテレビタレント活動や、ヒット工作に多額の資金を要する音楽活動においてはあまり勝算がないと思う。

ジャニーズ事務所を退社し、その後も遜色ない活躍をできている人はほんの一握りだ。1980年代にアイドルとして頂点を極めた田原俊彦さんですら、ジャニーズ事務所退所後に再び人気を盛り返し芸能界の表舞台に戻ってくるまで20年を要したのだ。田原さんが経験したような暗い長いトンネルを、果たして手越さんは走り続けることができるだろうか。今後の手越さんの活動を注視したい。

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