新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が全国で解除され、休業要請も緩和された。外出の機会が増えていくことが予想されるが、依然として感染防止のためにマスクは手放せない。一方で、女性の間ではマスクのおかげで「メークが崩れる」「肌が荒れる」といった悩みが多く聞かれ、男性からも「日焼けが気になる」という声が上がる。「マスク時代」に最適なメークを調べてみた。
マスクによるメークの悩みにはどのようなものがあるのだろう。話を聞いた20~40代の女性4人全員に共通したのが「メークがマスクに付く」ことだった。20代の大学生=大阪府高槻市=は「肌は日焼け止めを塗るだけで、アイメークに重点を置いている」と言う。一方、30代の銀行員=大津市=は「仕事柄ナチュラルメークが必須。以前と同じようにメークしている」と話し、マスク時のメークの度合いは職業やライフスタイルで差が大きかった。
夏場の汗によるメーク崩れや不快感も全員が困りごとに挙げた。「マスクに触れる顎回りにニキビができる」「マスクの形に日焼けしてしまったらどうしよう」といった悩みや不安のほか、顔半分が覆われることで「暗い印象になる」といった意見も聞かれた。
こうした懸念を払拭[ふっしょく]し、マスクを着けながらメークを最大限に楽しむにはどうすればいいのだろうか。YIC京都ビューティ専門学校(京都市下京区)に話を聞いた。
メークセラピストの福本真弓さんは、多くの女性が悩むメーク崩れについて「乾燥が原因である場合がほとんど。メーク前にしっかりと保湿して」とアドバイスする。ファンデーションを塗った後にスポンジで上から押さえたり、Tゾーンや目の回りにフェースパウダーをはたいたりして余分な皮脂を抑えると、より効果があるという。
マスク着用時は、眉と目元に明るい色を使い、快活なイメージをつくることを勧める。眉は健康的に見せるために太めに描き、目元はオレンジやピンクといったアイシャドーをやや広めに入れて茶色のアイラインとマスカラで仕上げる。「マスクを着けるときはアイメークだけ」という人も少なくないが、血色感が伝わるようにチークを高めに入れてハイライトとノーズシャドーで立体感をつくるのが良いという。
ヘアスタイルも、メーク同様、華やかな印象をつくることがカギとなる。美容師の柳原優志さんは「ポイントは顔周りを整えること」として、ハーフアップやお団子を提案する。後れ毛や前髪の量を少なくすると、顔周りをすっきりと見せることができるそうだ。
マスクによる肌トラブルも見過ごせない。エステティシャンの田澤初美さんは、不織布マスクのような化学繊維で長時間、肌がこすられると、かぶれや乾燥、ニキビにつながりやすいと指摘する。マスク内が高温多湿になり、ニキビの原因の一つ「アクネ菌」も増殖しやすくなるという。
田澤さんは、対策として「布マスクで刺激を抑えたり、マスクの中にガーゼやコットンを挟んで清潔に保ったりするといい」と助言する。乾燥がニキビにつながる場合もあることから保湿の大切さも強調した。
日焼けについては「マスクで隠れるところと隠れないところの境目に、日焼け止めを足して塗ると日焼けのむらがなくなる。塗り残しがないように耳や耳の後ろ、顎回りも塗ると、きれいになる」と説明してくれた。