家事も育児も同居の祖父母任せ、常にイライラ…実家暮らしのシングルマザーに育てられた子どもの気持ち

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離婚後、実家にお世話になるシングルマザーも多いですよね。18歳で実家を出た私も、離婚を機に実家暮らしのシングルマザーになりました。そして、私自身も実家に戻ったシングルマザーの元で育てられました。と言っても、家事も育児も同居の祖父母任せだった私の母。今回はそんなシングルマザーに育てられた、子ども側の気持ちについてお話ししてみようと思います。

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私の母は、自分の実家(私にとっては祖父母の家)に戻って私と弟を育てたシングルマザーです。私自身がシングルマザーに育てられた子どもでもあります。母は仕事や自分のことで家を空けることが多く、育児も家事も全て祖父母任せ。子ども時代の私は、母と一緒に過ごしたという記憶がほとんどありません。

自分もシングルマザーになったことで、当時の母の苦労も少しはわかるようになりました。それでも、子ども時代にさみしい思いをしてきた記憶があるため、今は自分の娘には同じ気持ちを味わわせたくありません。そのために母にしてもらえなかったことほど、私は娘にしてあげるように心がけています

シングルマザーの実家生活についてインターネットで調べると「家賃がかからない」「育児や家事を手伝ってもらえる」といったメリットについての情報を得ることができます。逆に、実家だからこその苦労についても見かけることがあります。しかし、実家暮らしのシングルマザーの元で育った子どもの気持ちについては、なかなか情報に触れる機会はないように思います。そこで今回は私の経験を元に、実家暮らしのシングルマザーの元で育った子どもの気持ちについて書くことにしました。実家暮らしの方も、子どもと一緒に独立して生活している方も、シングルマザーの子育ての参考にしていただけたらと思っています。

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私の育った環境について

私の両親は、私が3歳の時に離婚をしたそうです。母は私と弟を連れて実家に戻りました。実家には祖父母がいましたので、私は祖父母、母、弟と5人暮らし。18歳になって家を出るまで、15年間を母の実家で過ごしました。離婚時に母は仕事をしていませんでした。祖父は当時、配送業でトラックを運転しており、祖母は元々学校の先生でしたが当時は専業主婦でした。

私自身、母の離婚によって祖父母と一緒に暮らすようになった頃のことはほとんど覚えていません。自分の子ども時代の記憶をはっきりと思い出せるのは、小学校3年生くらいからになります。そのため3歳から小学校3年生までのことは後から母や祖父母から聞いたことです。

母は離婚をして実家に戻った後で、食材を宅配で届ける会社に就職をしました。私には子どもの頃に母と一緒に過ごしたという記憶がほとんどありません。食事の準備から掃除、洗濯といった家事、私や弟の面倒は全て祖父母がみてくれていました。そのため、母の手料理を食べた記憶すらありません。母は少しヒステリックなところがあり、帰宅すると疲れているのか常にイライラしていました。物を置く時、ドアを閉める時など大きな音を立てるため、私も弟も母に対して「怖い」という感情を持っていました。何か話したくても話しかけるのをためらってしまうことが多く、代わりに祖父母に聞いてもらっていました。

私が小学校4年生になる頃、母は独学で簿記の資格を取得し、小売業をしている小さな会社で経理の仕事をするようになりました。以前よりも安定した収入が得られるようになったようです。その会社はアットホームな雰囲気で、私や弟も何度か遊びに行ったことがあります。家の固定電話が置いてある場所に母の会社の電話番号が貼ってあり、具合が悪い時はよく電話をしていました。風邪をひいた時、途中で母が仕事を抜けて迎えに来てくれて病院に行き、会社で母の仕事が終わるまで待っていることもありました。

転職前に比べると母と過ごせる時間は格段に増えました。それでも帰宅後にイライラして物に当たることは治らず、相変わらず母に対して苦手意識を持ったまま私は大人になりました。

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母と祖父母との実家暮らしで辛かったこと

子どもの頃、母と過ごす時間が少なかったことをさみしいと思ったこともあります。遊びに行った友達の家でお母さんが手作りのおやつを出してくれた時、参観会に来てくれなかった時、学校で嫌なことがあっても話せなかった時。正直、寂しいと思うことがたくさんありました。

しかし、母と祖父母との生活の中で一番辛かったのは、私や弟のことで母と祖父が喧嘩をすることでした。祖父は昭和初期の生まれで、典型的な「昭和の男」というタイプ。短気で気に入らないことがあると怒鳴る人でした。そのため私や弟も怒鳴られることがありました。その様子を見ていた母が、私達をかばって祖父と大喧嘩を始めてしまうのです。

「私の子どもなんだから放っておいて!」「それなら全部自分で面倒をみればいい!」と、怒鳴り合いの大喧嘩に。祖母がとりなそうと間に入ってくれるものの、お互いに気が強く引かないため、いつも最後は祖父に「出て行け!」と言われました。時にはそのまま母の車に乗せられて本当に家を出たこともあります。夜のドライブしていると、いつの間にか私と弟は後部座席で寝てしまい、気がつくと朝になっていて何事もなかったように家に帰りました。

私にとって、母と祖父が自分たちのせいで喧嘩をしてしまうことは寂しさよりも辛いことでした。弟と当時のことを話したことがないため、弟がどう思っていたかわかりませんが、私は自分のせいで母と祖父が喧嘩をすることがないように、祖父に怒られないようにしようと思っていました。母は母で家では常にイライラしているため、母にも祖父にも気を遣うようになり、だんだんと家の居心地が悪くなっていったのを覚えています。中学生になった頃から、早く家を出たいと思うようになりました。

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実家で暮らすシングルマザーになった今

離婚を機に私も実家に戻り、私自身も実家で暮らすシングルマザーになりました。母に代わって私達の面倒をみてくれた祖父母は、5年前に立て続けに亡くなり、今は母と娘と3人暮らしをしています。

子どもの頃にほとんど育児や家事をしてもらった記憶がない母に対して、私は今もわだかまりを持っています。一緒に住んではいますが、娘の面倒をみてもらうことや食事の準備をしてもらうことはありません。娘のことは可愛がってくれていますし、他愛もない会話をしたり、3人で一緒に出かけることもあります。決して仲が悪いわけではありませんが、未だに母に対して気を遣ってしまい何かを頼むということができないのです。

例えば、急に仕事の残業を頼まれた時に「娘の食事を準備して欲しい」「娘を迎えに行って欲しい」と頼めば、小言は言われるでしょうがやってくれるかもしれません。しかし、その一言が言えないため、そんな時は休憩中に慌ててスーパーでお弁当を買い自宅まで置きに帰ります。そして一旦定時で退社し、娘を迎えに行って家に送り届けてから仕事に戻ります。

母は掃除や洗濯もほとんどやりません。光熱費の折半として母に3万円を渡していますが、食費や日用品など家にかかるお金は全て私が払っています。正社員として働き始める前のパートの時は金銭的に余裕がなかったので3万円を高く感じていましたが、家賃がかからないので助かりました。母は今、63歳になり以前から勤めていた職場でパートとして再雇用されています。あと2年で定年になりますから、その後は私が全面的に面倒をみていくことになるのかなと思います。

実家暮らしのシングルマザーも、家庭環境によっては必ずしも手助けが得られるわけでありません。「実家暮らしだから親に手伝ってもらえていいね」と当たり前のように言われたりすると、不本意だなと思ってしまいます。

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実家生活のシングルマザーに向けたアドバイス

実家暮らしのシングルマザーの方に、実家暮らしのシングルマザーの元に育った子どもとしてアドバイスを2つさせてください。

(1)子どもの前で親子喧嘩はできる限り我慢

血がつながっているからこそ、遠慮や我慢ができないことがあったり、感情的になって喧嘩をしてしまうこともありますよね。特に気をつけておきたいのは子どものことが原因で喧嘩になってしまう場合です。私がそうであったように、子どもにとって「自分のせいで喧嘩をしている」と思うことはとても辛いことです。言い合いになりそうな時はその場を離れてみると冷静になれるかもしれません。

(2)子どもの話は時間を作って聞いてあげる

シングルマザーは仕事に家事に忙しいですから、時間に追われていることも多いですよね。子どもが話しかけてきても、つい「後にして」と言ってしまうことはありませんか。私自身が慌ただしく夕食の準備をしている時など、子どもが話しかけてきても後回しにしてしまうことがあります。代わりに夕食を一緒に食べる時は、後回しにしてしまった話の続きを聞くようにしています。家に祖父母がいて話し相手になってくれるとしても、親が話を聞いてくれないのはさみしいものです。

中学生になった私の娘は、反抗期に突入して以前よりも会話が減りました。部屋にこもったり、休日も友達と遊びに行ってしまうため、ゆっくり話す機会がなかなか作れません。最近は年に2―3回行く旅行の時にいろいろな話をするようにしています。

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私は自分が子どもの頃に見ることができなかった「母親業をする母の姿」をできる限り娘には見せておきたくて、仕事も育児も家事も両立しようと努力中です。今回は私の子ども時代のエピソードが多くなってしまいましたが、シングルマザーのみなさんにとって何かの参考になれば幸いです。

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