コロナ禍で休園中に突如「ジャイアントパンダ中国帰還へ」が発表され、地元市民らに衝撃を与えた神戸市立王子動物園。6月1日から事前申し込み&抽選方式で再開され、22日からは県外の動物サポーターまで枠が拡大しました。まだ具体的な返還日程は定まっていないものの、最後に一目見たいというファンの申し込みが相次ぎ、土日の倍率は約3倍に。「3密」を避けるため限られた時間ながら、その姿を目に焼き付けています。
同動物園は3月初めから屋内施設のみ閉鎖し、4月の緊急事態宣言発令後、約2カ月全面閉園。ファンとしてはそろそろ…と期待する中で発表されたのがタンタン(メス、24歳)の返還でした。
現在は毎週金曜から月曜に、次々週の月曜から日曜分の申し込み(複数日申し込み可)をし、当選者には日時とパンダの観覧時間が記されたメールやはがきが届きます。再開直後は神戸市民と兵庫県内の動物サポーター限定だったこともあり、筆者は初日の入園券をゲット。朝イチで動物園に駆けつけました。
たまたまパンダ舎の屋外運動場に出ていたタンタン。小さな子ども連れの親御さんが、「パンダさん、おらんようになるねんて~」「よう見ときよ」などと話すのが聞こえてきて、じわり…。「パンダさーん」「タンターン」と子どもの声が響きます。報道関係者も多くザワつく中、さすがタンタン、「何かあったの」みたいな表情。何台ものテレビカメラ、脚立に上がったカメラマン、ファンの視線がいつも以上に激アツでも、いつも通り後ろ向きでお食事中。と思ったら、暑さ対策のミストの中に消えたり、ボワーンと現れたり。なんとまあ、歩いているだけでもなぜこんなに愛おしいのでしょう。
観覧時間まで、久しぶりの園内を散策です。ゾウ運動場では、寂しがり屋のオスのマックが鼻でシャワーのスイッチを押して飲む様を披露。人がたくさん訪れる状況が落ち着くのか、何だか眼差しが穏やかです。このおこもり期間中に冬仕様でモフモフだった動物はすっかりスッキリ夏毛に変身。コアラ館など屋内施設も一部を除き3カ月ぶりに公開されました。ソーシャル・ディスタンスのためのパイロンが並ぶ中、それでも久しぶりの”人混み”に懐かしさえ覚えていると、毎日動物園を訪れている名物おじいちゃんが「いっつも(動物の)名前呼んで『おはよう』言うのに、みんなの名前が思い出されへんねん…」。うんうん、分かりますその感覚。2カ月は長過ぎましたよね!
そうこうするうちにタンタンタイム。観覧通路の外側はロープで誘導路が巡らされ、受付で観覧時間を確認。屋内展示場は3列ありますが、1、3列目の通路は閉鎖されているので2列目から見ます。屋外にいる場合は最前列が当選者のために確保されています。
この日は屋内で、10人弱だったでしょうか。メールに書いてある時間は15分ですが、出入りや前後の消毒時間を含めてのため、3分ちょうどでピピピッと合図が鳴り「次の方へ」と警備員さん。タンタンはというと、寝てました。舌ペロ見えました、寝返り打ちました、開脚うつぶせ寝で正面顔も見せてくれました。ニンジン両手持ちも竹を振り回す豪快さもお腹をタケノコの皮まみれにした満腹顔も見られませんでしたが、大丈夫、満足です。
王子動物園では特設サイト「#ありがとうタンタン」を公開。このハッシュタグでツイッターなどに投稿された写真などをみんなの思い出写真として紹介しています。メッセージを書く竹の葉型カードをダウンロードして使用・郵送でき、来園できなくてもタンタンに思いを届けることができます。飼育員らが撮影した動画も配信し、毎日たっぷりタンタンを見ることができます。
とはいえ、生タンタンを見たいというファンは全国規模。今月22日からは入園枠も当初の2000人から2500人に拡大し、「新しい生活様式」の緩和が条件とはいえ、兵庫県外の動物サポーターも対象になります。王子動物園によると、土日に比べ、平日はまだ余裕があり、タンタンの観覧時間も少し長めで気持ちゆっくり見られることが多いのだとか。
さらに筆者の経験から。最近暑くなってきたため、タンタンは午前10時以降は屋内に入ってしまうことが多いので、屋外で見たいなら朝イチでの入園がおすすめ。パンダの観覧時間も屋外で間近で見られる朝イチが最も人気がありますが、空き自体は夕方の方が多い印象です。ちなみにですが参考に筆者の当落。1週目は希望の半分だけ。2週目はさらに減り、なかなか厳しい。「パンダの観覧時間は何時でもいいので入園したい枠」があれば選択したいものです!(もちろん、ありません)