神戸のパンダ中国返還…コロナ禍中の発表にファンら動揺「会えないままお別れかも」営業再開時も入場制限

茶良野 くま子 茶良野 くま子

 5月19日午後2時過ぎ。王子動物園つながりの友人から突然のLINEメッセージ。「タンタン帰るって…」。えっ、また怪しげな憶測ニュースでも出たかと高をくくり、「ウソ!違うよきっと」と即レスしましたが、すぐに地元紙の神戸新聞ネクストで速報。園からも正式発表があり、「フェイク疑惑」は消え去りSNS上では「えーーーーっっ!!」「まさか」「だれか嘘だと言って」と悲痛な叫びが連なりました。

 神戸市立王子動物園のジャイアントパンダ、タンタン(旦旦)は中国生まれ、24歳のメス。2000年に王子動物園に来園。日本国内3園で飼育されるジャイアントパンダの中でも小柄でまん丸、手足の長さも控えめでお腹は地面にひっつきそう。水浴び後にゴロゴロすれば「白黒+茶色」の新種状態。お食事タイムではお客さんに背を向けてしまうことも多いものの、それもまた「タンタンあるある」。その後ろ姿は「おにぎりタン」と喜ばれるほど何をしてもみんなを笑顔にしてしまう人気者なのです。

 国内のジャイアントパンダは皆、中国からのレンタル。タンタンの契約はこれまで数回延長され、現在は2020年7月が期限となっていました。これまで契約期限に関するニュースが出るたびにファンはそわそわ、やきもき。ずっとここで会いたい!と願いを込めて、「#旦旦ずっと神戸におってほしいねん」のタグ付きツイートも続いてきました。

 同園は新型コロナ禍で3月初めから屋外施設のみで開園。4月の緊急事態宣言後は臨時閉園となりましたが、飼育員らによる公式Twitterの「#きょうのタンタン」は休園中も絶好調。ジャイアントパンダの鳴き声や、しっぽの秘密などクイズ形式でツイートしたり、バックヤードで暗闇から怪しく現れるホラーにしか見えない姿など、普段は見られない「素」の表情を積極的に公開したり、ジャイアントパンダの生態紹介にも力を入れてきました。

 そしていよいよ再開も近いとファンの期待が高まる中での、突然の返還発表。「受け入れられない」「覚悟はしていたけど眠れない」「ずっと一緒にいられるかも、と思っていた」など、いつかは…と心の片隅に置きながらも、もしや…との思いがあったのです。一夜明け、「泣きすぎて会社行けない」との声も。「暑い時期の移動は大丈夫?」「20年も神戸で暮らしたのに新しい環境に馴染めるのか」と高齢のタンタンだけに心配は尽きません。

 兵庫県は21日にも緊急事態宣言が解除される見通しで、同園も6月1日からの再開を発表。ですが、“3密”を避けるため、事前申し込みによる入園制限を行い、申し込めるのは「神戸市内在住者」と、「兵庫県内在住の動物サポーター」のみ。人数は1日2000人と平日なら余裕がありそうですが、遠方からは申し込みもできないという過酷な状況。タンタンの移動日は未定ですが、「まさか、会えないままお別れ?」「せめて県外の人も行けるまで待って!」「会って感謝伝えたい」と切実な声が連なっています。

 実際に同園にも「県外からはもうタンタンに会えないの?」などの声が多く寄せられており、もし対象者を神戸市外、兵庫県外に拡大できる状況になれば見直し、公式ホームページで案内予定といいます。「対象拡大は、緊急事態宣言の解除などの状況次第」と広報担当者。「タンタンに会いたいと願う方が皆さん会える状況になることを、私たちも心から願っています」

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