6匹の猫を多頭飼いしていた金谷さん。草むらで鳴いていたところを保護された2匹の子猫のうち1匹を譲渡してもらうことにした。ご主人は、「1匹ならいい」と言っていたのだが、金谷さんは、2匹引き取ることにした。
ブサイクな子猫
猫ボランティアをしているわけではないが、なぜか困っている猫に年に何度か出会ってしまうという人がいた。2018年6月、その人が草むらで鳴いている2匹の子猫を発見した。放っておくこともできず保護したが、既に6匹の猫を飼っていたので、里親を探すことにした。
愛知県に住む金谷さんは犬を4匹飼っていたが、2匹亡くなったので、新たに猫を迎えようと思っていた。動物看護士をしている娘から草むらで保護された猫の話を聞き、写真を見てみた。
女の子は極端な釣り目。男の子は少しマズルが前に出ていて、2匹ともどちらかというとブサイクだった。男の子は、一人暮らしの若い男性に譲渡することが決まっていたので、金谷さんは、女の子を譲渡してもらうことにした。
「子猫は普通、顔の真ん中に鼻や目が寄っていて可愛らしいのですが、2匹ともどちらかというとブサイクで。でも、これも個性じゃないかと思ったんです」
1匹だけ飼うつもりが
7月10日、金谷さんは猫をもらうために動物病院に行った。ご主人は、「1匹なら飼ってもいい」と車でついてきてくれた。
キャリーバッグを持って院内に入ると、娘が「2匹いるよ」と耳打ちしてきた。男の子は里親希望者の男性がキャンセルしたのだ。ご主人の顔がちらっと頭をよぎったが、金谷さんは、「2匹持って帰ります」と受け取った。
車に乗った瞬間、ご主人が「数が多いぞ」と憮然として言った。不機嫌な横顔。金谷さんは、「1匹にしてしまうのはかわいそうだし、キャンセルになったから」と言ったが、帰りの車中は、重苦しい空気に包まれた。
母猫が一生懸命育てた子猫たち
子猫たちは生後1カ月半くらいだった。
「元気そのもので、お母さん猫が一生懸命育てた感じがしました」
男の子はどんくん、女の子はこまりちゃんと名付けた。
2匹が目の前でころころ遊ぶので、不機嫌だったご主人もかまいたくなる気持ちを抑えきれず、可愛がっていた。
兄妹一緒だったので、まったく物怖じすることなく、家の中を我が物顔で闊歩した。勝手に「ここで寝る」と寝場所も決めて、カーテンに登ったり、猫砂で遊んだりした。
こまりちゃんはお嬢様気質。ちょっとした柵を超えるにも、抱っこしてもらえるのを待っている。どんくんは、かまって、かまって、なでて、なでてと言う甘えん坊。誰でもいいから触ってくれと要求してくる。猫じゃらしが好きで、夜中に枕元に持ってくるのだが、朝起きると、まるでお供えのように置いてあるそうだ。