犬の散歩中に「ニャア」と助けを求めてきた子猫を保護 瀕死の状態から回復→ボス猫にまで成長

渡辺 陽 渡辺 陽

キララくんは、橋の近くの護岸の上で、いまにも下の川に落ちそうになっていた。食べるものも食べられずガリガリにやせ、力尽きかけていた。たまたま犬の散歩で通りかかった竹中さんが保護。キララくんは犬を母猫のように思って育ち、いつしか竹中家の猫たちのボス猫になった。

橋のたもとで助けを求めていた猫

2004年9月30日の夕方、奈良県に住む竹中さんは、川沿いの道を2匹の犬の散歩をしていた。夏が終わり、日が暮れる時間が早くなっていたので、あたりは薄暗がりだった。橋の近くに差し掛かると猫の鳴き声が聞こえてきた。離れると声は小さくなっていった。帰り道、同じ場所を通りかかると再び猫の鳴き声がした。探してみたが、暗くてどこにいるのか分からなかった。

竹中さんはいったん帰宅して懐中電灯を持って、再び鳴き声がしたところに行ってみた。竹中さんが近づくとまたニャアニャア鳴き出したので、懐中電灯の明かりを頼りに探すと、護岸の上の土手のところに白黒の子猫がいた。いまにも下に落ちそうだった。

ガリガリにやせていて、目は猫風邪でぐちゅぐちゅになっていたという。「シェルティという中型犬の親子を飼っていたのでどうしようかなと思ったのですが、とりあえず保護することにしました」。子猫は、よたよたとおぼつかない足取りで近寄ってきた。後日、近隣の人に聞くと、その猫は他の人が通りかかっても鳴かなかったそうだ。

もりもり食べて元気に

かかりつけの動物病院に行くと、生後1カ月くらいだと言われた。

「生きられるか分からなかったのですが、とりあえず食べさせるだけ食べさせてと言われました。一応、里親さんを探しましたが、家に連れ帰った時には、里親さんが決まらなければうちで飼おうと思っていました」

近所の人に「猫を飼わないか」と声をかけたが、欲しいという人は現れなかった。名前はキララくんにした。

とにかくやせ細っていたので、まずは栄養をつけさせようと離乳食を食べさせた。キララくんは、ガツガツ食べてすくすく育った。人を怖がることはなく、飼いやすい猫だった。

10日もすると、シェルティのルカくんを母猫と間違えたのか、乳首を吸うようになった。ルカくんも嫌がらず、そのまま吸わせていたという。

ボス猫だが甘えたい時もある

キララくんは、棚の上に乗っていろいろな物を落としたり、壁を引っ掻いたりしたが、竹中さんは気にしなかった。

「いろんなことをして面白いなあと思いました。こんなこともするの!と驚くこともありましたが、一度やられたら先回りして壁に透明のビニールシートを貼ったり、椅子の脚に麻縄を巻いたりしたんです」

犬が亡くなるとキララくんはボス猫っぷりを発揮した。他の猫がいると竹中さんに甘えないが、キララくんだけになると甘えてくる。どうやら他の猫に「俺が一番強い」とアピールしたいようだった。

竹中さんに甘えられる一人と1匹の時間を作らないとご機嫌斜めになってニャアニャア鳴く。トイレは、他の猫の目を気にしないで竹中さんに甘えられる唯一のスポットだ。

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