カリンちゃんは、奈良県に住む竹中さんの家の玄関に突然現れた。人懐っこいが野良猫のようだった。竹中さんは、迷うことなく保護した。カリンちゃんは、親子喧嘩の仲裁もしてくれるし、後輩猫の面倒もよく見てくれる優しい猫だという。
「家に入る?」と言ったら「ニャア」と返事
2006年8月7日、奈良県に住む竹中さんは、いつものように平和な朝を迎えた。ご主人が仕事に行こうとして玄関のドアを開けると、そこには猫がいた。
驚いたご主人の「猫がおる!」という声が聞こえて見に行くと、確かに猫がいた。人が近寄っても逃げようとしない。竹中さんは、「どこかの飼い猫が迷い込んできたのかもしれない」と一瞬思った。
「スリスリして甘えてくる人懐っこい猫だったのですが、左目がしょぼしょぼしていて左右の眼の色が違い、何かおかしかったんです。肋骨が浮いて見えるほどやせていて、毛づやも悪く、やはり野良猫だなと思いました」。竹中さんが、「どうする?うちの子になる?」と猫に尋ねると、「ニャア」と鳴いてスリスリしてきたので、抱っこして家の中に入れたという。
野良猫から家猫に
ご主人から「どうだった?」とメールが来たので、「うちに入れた」と返信すると、ただ「そうか」と返ってきた。 動物病院に連れて行くと、大量のノミやダニがついていた。眼の不調は子猫時代の栄養失調が原因だったという。生後5カ月くらいだった。名前は、カリンちゃんにした。
犬と猫を飼っていたので、猫エイズや白血病の検査結果が出るまでカリンちゃんを隔離した。先住猫のキララくんは、カリンちゃんに興味津々。ケージの周りをくるくる回ったり、上に乗ってみたり、手を入れてみたりした。カリンちゃんもキララくんと一緒に遊びたいようだった。
ケンカの仲裁も
検査が無事終わり、カリンちゃんをケージから出すと、キララくんと仲良く遊び始めた。兄妹のようにずっと一緒にいたという。それまでキララくんの遊び相手をさせられていたシニア犬のルカくんはホッとしたようだった。
カリンちゃんは、竹中さんが息子さんを叱っていると、間に入ってきて竹中さんの足の上に手を置いたり、じっと顔をみたりする。「もういいかげんにしたら」とでも言っているかのよう。息子さんにスリスリするカリンちゃんを見ると、竹中さんは怒っていたことを忘れて笑ってしまう。
後から来た猫をグルーミングしたり、添い寝してあげたりすることもある。噛む力が分かっていない子猫の指導もする。まるでお母さんのような猫だという。