ガリガリに痩せ、衰弱していた子猫 保護され生気を失っていた目に力が宿る

渡辺 陽 渡辺 陽

ガリガリにやせて放浪していたシャム猫に似たチャイくん。栄養失調で皮膚はボロボロ、片耳は凍傷で先端が取れかけていた。捕まえようとすると逃げたが、走る力も残っておらず保護された。治療は1カ月にも及んだが、元気になり、生気を取り戻した。

逃げる力も尽きたボロボロの子猫

奈良県に住む竹中さんは、カリンちゃんとキララくんという猫とルナくんという犬を飼っていた。カリンちゃんとキララくんは竹中さんが保護した猫だった。

2010年3月、近隣でシャム猫のような猫を見かけるようになった。飼い猫か迷い猫だと思ったそうだ。2日くらい様子を見たが、見てしまった以上放っておけない。

「よく見ると今まで見たこともないくらいガリガリに痩せていたんです。これは保護するしかないと思いました」

3月22日、竹中さんは猫を捕獲しようとしたが、捕まえようと思うとシャーシャー逃げて行った。隣の家に逃げ込んだところを捕まえた。

「捕獲機やキャットフードを使わなくても、衰弱していたので素手で捕まえられたんです」

迷い猫の可能性もあったので、竹中さんは保健所と警察に連絡した。しかし、飼い主は現れなかった。野良猫かもしれない。

里親が見つからず飼うことに

生後5カ月くらい。顔は疥癬で真っ赤になり、背中は栄養失調で皮膚が荒れ、触るとプチプチと音がした。右耳の先端が凍傷で取れかけていて、獣医師は、「耳の先はすぐに取れてしまうけど、スコティッシュフォールドみたいで可愛いやん」と言った。身体も弱っていたが、死にかけの猫のようなうつろな目をしているのが気になった。名前はチャイくんにした。

竹中さんの知り合いが、「次に猫を保護したら私が引き取る」と言っていたので、「きれいになったら連絡する」と約束した。知人は、「見るだけ見てみる」と家に来て、「可愛いな」と言って遊んでくれたが、後日「主人がだめだと言うから引き取れない」と言った。

「犬が1匹と猫が3匹はさすがにきついなあと思いました。でも、マックス4匹までならなんとかなるので、飼うことにしたんです」

ライバルは犬

最初、弱っているうちは抱っこできたが、怖がって固まった。人にいじめられていたのか、手を上に上げると今でも怖がる。人見知りするが、次第になじんできてキャットフードを食べるようになり、回復とともに目に力が宿ってきた。

チャイくんは、犬のルナくんと追いかけっこをするほど仲が良いが、なぜかライバル意識を持っている。猫のキララくんとカリンちゃんに先におやつをあげても怒らないが、ルナくんに先にあげると気になるようで、ごろんとお腹を見せて横になり、「僕にもちょうだい」とアピールしてくる。

 

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