在米記者が見た燃えるパトカー、ズタズタの街…黒人暴行死へのLA抗議デモ暴徒化の一部始終

今井 悠乃 今井 悠乃

 ミネソタ州ミネアポリスで、ジョージ・フロイド氏が死亡した事案に関する抗議デモが米国各地で行われていますが、5月30日には4日目を迎えたロサンゼルスの抗議デモが過激化。パトカーや建物の破壊と放火、暴徒が窓ガラスを割って店舗を略奪したり、警察官を攻撃したり、大暴動にエスカレートしました。

 ロサンゼルス市全域で、午後8時から翌朝5時30分まで夜間外出禁止令が発出されるほど、前代未聞のスケール。「今回はいつもの抗議デモと違う…」そう思いながら寝付いた翌朝、アメリカ在住14年目にして、この騒乱の傷痕を目の当たりにしました。

 ビバリーヒルズ、メルローズアベニュー、フェアファクス地区やダウンタウンなど、いつもなら旅行者で賑わうエリアが、この朝は警察、消防士、清掃作業員や記者であふれています。

 パトカーだけではなく、一般市民の自家用車までもターゲットに。大勢の暴徒の略奪と放火の被害にあった靴屋。昨夜は店先に車を停め、商品を大きな箱に詰め込んで持ち出したり、両手いっぱい靴の箱を抱える暴徒の姿が見られた店舗です。鎮火するまでに何時間もかかり、痛々しい匂いが漂っていました。

 フロイド氏が何度も嘆いていた「息ができない (I can’t breathe)」や「ブラック・ライヴズ・マター」、警察に対する怒りを表すメッセージが、建物の壁、道路や歩道など、街中の至るところに書かれています。

 暴徒たちが我先にと商品を略奪し、警察が現れると火山が噴火したかのように逃げ出していたホールフーズの入り口。その反対側には、ロサンゼルスで最も有名な屋外ショッピングセンターのひとつ「ザ・グローブ」があります。一部放火、百貨店やナイキストアなどの店舗が略奪されるなど、大打撃を受けました。

 新型コロナウイルスのため、外出禁止令が出てから約2カ月半。生活に必要不可欠なエッセンシャルビジネス以外のモールや個人店の多くが、やっと今週末から営業再開が許されていました。店頭に商品を並べたばかりのお店も少なくありません。

 傷だらけのロサンゼルスの姿を見ると心が裂けそうですが、メルローズアベニューにはホウキとちり取りを持参して清掃を手伝う地元の人や、略奪された店舗のオーナーを励ます人の姿も見られました。

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