はなこちゃんは、コンビニのあたりをうろついて、いろんな人にエサをもらって生きていた。たまたま近くを通りかかった猫ボランティアの男性が保護したが、なかなか里親が決まらず1年ほどシェルター生活を送っていた。東京都に住む鈴木さんは、大人の猫を探していたのだが、縁あってはなこちゃんを迎えた。
コンビニの周辺に居ついていた茶トラ猫
茶トラ猫のはなこちゃんは、東京都国立市のコンビニの付近で人からエサをもらって生きていた。2013年6月、たまたま猫ボランティアをしている男性がコンビニの前を通りかかり、店員に話を聞くと、「ここ数カ月、ずっとここにいる」と言う。男性ははなこちゃんを保護して、ワンルームマンションのシェルターに連れて行った。その後、はなこちゃんは1年くらい、そこで過ごしていた。
東京都に住む鈴木さんは、耳が聴こえないレオくんという元保護猫を飼っていた。10歳前後のシニア猫だった。
「レオくんは甘えん坊で、すぐに抱っこしてというような子だったので、寂しくないように、もう1匹猫を迎えようと思っていたんです」
「じゃあ、この子にします」
鈴木さんは、犬の散歩をさせている時、同じように犬の散歩をしている人に出会い、立ち話をした。「最近、レオを迎えたんです」と話したら、その人が猫ボランティアをしていることが分かった。「大人の女の子の猫はいませんか」と尋ねると、はなこちゃんを保護した男性を紹介され、譲渡会に行くことになった。
譲渡会は男性が住む町のお祭りの時にやっていた。「時間があったら来てください」と言われて行くと、里親を探している猫の写真が貼ってあった。
ワンルームマンションのシェルターに行くと、はなこちゃんは1匹だけでケージに入っていた。他の子とすぐにケンカするのだという。
抱かせてもらうと、攻撃性はまったくなく、人懐っこい猫だった。「じゃあ、この子にします」と言うと、「その子はマーキングするけど、大丈夫ですか」と言われた。
「ケンカするとかマーキングするという理由では断れませんでした。私が引き取らないと、一生ケージの中にいるのかもしれないと思い、はなこを譲渡してもらったのです」
自分の健康に気を遣うように
6月、はなこちゃんは鈴木家にやってきた。推定5歳くらいだった。
先住猫のレオくんは、ちょっと臭いを嗅いだだけで、興味がないようだった。はなこちゃんも堂々と振舞った。飼い猫だったのではないかと思うほど人懐っこく、名前を呼ぶと来てくれる。いまだに壁や布団にマーキングをする。鈴木さんは、布団を防水布団に変えるなど、はなこちゃんと暮らしやすいように工夫している。
猫を飼って以来、以前よりも自分の健康に気を遣うようになったという。
「入院なんてことになったら、猫を夫にはまかせておけません。留守番できるという人もいるけれど、私は旅行にも行きません」
猫に癒しを求めるというより、猫が吐いていないか、寒くはないかなど、心配が先に立つという。前世も来世も猫だったのではないかと思うほど猫が好き。猫のために生きなければならないと運命を感じているそうだ。