大学生が、自分に懐いていた野良猫を、一人暮らしの部屋に上げた。野良猫は妊娠していて、間もなく子猫を産んだ。里親さんを探していると知った金谷さんは、4匹兄弟のなかでも、お世辞にも可愛いとは言えない、ユーモラスな顔の子猫を飼うことにした。
野良猫が産んだ子猫たち
愛知県に住む金谷さんの息子さんの友達は一人で暮らしていたのだが、懐いていた野良猫を部屋に入れた。その猫は、野良猫なのに、なぜか人に寄ってくるような猫だった。部屋に入れた時、既にその猫は妊娠していた。2011年7月19日に出産。4匹兄弟が産まれた。
お母さん猫は、まだ若い猫だったが、子猫たちにお乳を飲ませ、排泄の世話もした。金谷さんの息子さんも含め、友達同士で猫の世話をして可愛がったが、やはり飼育するのは大変だった。里親を探していると聞いた金谷さんは、子猫を1匹譲り受けることにした。男の子のほうが飼いやすいと思ったが、男の子は1匹だけだった。
不細工な子猫、でもブス加減がいい
8月、お盆明けに金谷さんは、子猫に会いに行った。
「4匹の中で一番不細工だったんです。1匹だけ違う顔立ちで、可愛いか可愛くないかと言われたら、可愛くない子でした。家族みんな黒っぽい猫がいいと言っていましたし、何よりブスさ加減がいいと思ったんです」
他の3匹の子猫は、白地に黒い縞模様の子だったが、可愛くて、里親さんが決まっていた。
子猫の名前は「おこげくん」にした。生後40日くらいだったという。ブラックスモークといって、表面の毛は黒いのに中は真っ白な子で、遠目に見るとサビ猫のように見えた。
幸せなおこげくんを襲ったリンパ腫
金谷さんはゴールデンレトリーバー1匹と小型犬3匹を飼っていた。おこげくんが来ても、みんな動じることなく、落ち着いていた。おこげくんも隠れることも、怖がることもなく、ずっと前から金谷家で暮らしているようだった。先住猫のニイくんだけは、「なんで来たの?」と迷惑顔。おこげくんが近づくと逃げてしまった。
金谷さんのご主人も、おこげくんのユーモラスな顔が気に入って、可愛がった。そのため、おこげくんは、ご主人にすっかり懐いていて、ごはんを食べ終わると膝の上に乗るし、寝る時も一緒に寝る。
幸せに暮らしていたおこげくんだが、リンパ腫になってしまった。抗がん剤を飲んで治療中。体重が減り出したらあっという間に逝ってしまうと言われているが、金谷さんは、おこげくんがいつも通りごはんを食べて、すりすりしている姿を見られることに喜びを感じている。