話題の猫柄マスク「保護猫との縁を繋ぐきっかけに」 手作りで販売する保護猫カフェに聞いてみた

西松 宏 西松 宏

 マスク不足が続くなか、宮崎市内にある保護猫カフェ「うたたね」(橋本智子代表)が手作りで販売している「猫柄マスク」が話題だ。

「宮崎にもマスクが全然なくてなかなか手に入らないことと、ハンドメイドの可愛い猫グッズはたくさんあるけれど、猫柄のマスクはあまり見たことがなかったので。猫好きのお客さまが少しでも笑顔になってくれたらと、3月から作り始めたんです」と橋本さん。現在の店頭価格は1枚1000円(税込)。売上は材料費を除いた全額が保護している猫たちの飼育費にあてられる。

 8日付の地元新聞コラムにこのマスクが取り上げられると、100件以上の問い合わせがあったそうだが、現在のところ店頭販売のみで、通販はしていない。橋本さんとスタッフの2人で手作りしているため、「できても週に30枚くらい」(橋本さん)。「材料となるガーゼやゴムひもがなかなか手に入らない」状況ともいい、「材料の仕入れは、手芸店のネットショップで時間、数量を限定した販売に頼っています。いつまで続けられるかわかりませんが、できる限り作りたい。今後は店頭販売だけでなく、店に寄付を寄せてくださった方への返礼品として贈ることも検討中です」(同)。

 同店は、捨てられたり動物愛護センターに持ち込まれたりした猫たちを一時的に保護し、新しい飼い主を探す「保護猫カフェ」として2008年10月にオープン。以来、現在までに330匹以上の猫が巣立ち、新しい家族との縁を結んできた。

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、同店では6日から貸切予約制に移行。客同士の接触がないようにし、体調不良の人や感染者が多い地域からの来店者を制限。入店時のマスク着用、手洗い、消毒を徹底している。

 「7都道府県に緊急事態宣言が出されてから、売上は5割以下に減りました。いま、保護猫カフェの経営は、どこも窮地に立たされているのではと思います。猫の飼育費や医療費は常にかかりますし、寄付に頼っているところも多いですから。今後の状況を見ながらの判断となりますが、当店も早ければ今週末から来週にも営業を自粛するかもしれません」(同) 

 反面、保護猫の譲渡は増加傾向にあるという。同店の場合、「新しい飼い主さんが見つかるのは、ふだんなら毎月平均2〜3匹くらいのペースなんですが、先月は6匹が正式譲渡に至りました。お子さんが家にずっといることもあり、この機会に、前から猫を飼いたいと思っていたご家庭が飼い始めるケースが多いです。いうまでもなく、いつもと同様の審査(トライアル=試し飼いを含む)をしっかり行った上での譲渡です」(同)という。

 毎年、これから暖かくなるにつれて、野良猫が出産シーズンを迎え、子猫などの保護が増える。橋本さんは「猫柄マスクが、少しでも保護猫カフェの存在を思い出して頂くきっかけになれば。そして、猫を飼うなら保護猫を、との選択肢が一層根付いてくれたら」と願っている。

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