コロナでイチゴ狩り休園でも…希少種など6種の完熟イチゴで作った濃厚イチゴバターが誕生

広畑 千春 広畑 千春

 新型コロナウイルスの感染拡大で各地でイチゴ狩りが中止・縮小され、関西最大級の規模を誇る大阪・和泉市の「いずみ小川いちご農園」も今シーズンのイチゴ狩りを取りやめました。その代わり…といってはなんですが、同農園のイチゴ6種類を使い、バターの分量をギリギリまで高めたイチゴバターはいかがでしょう?

 いずみ小川いちご農園は複数の農家が組合方式で運営し、5棟計約6600平方メートルのハウスに約4万6千株のイチゴを栽培。品種も11品種を栽培し、昨年度の来場者は2.3万人を突破する人気のイチゴ園です。

 完熟イチゴを使ったチーズケーキなどの加工品も販売してきましたが、昨年夏から、親族企業ノアテック関西の飯阪晃三さんを中心に、近年人気が高まっているイチゴバターの試作を始めました。

 「老人ホームなど高齢者福祉施設とのお付き合いも多いんですが、年配の人は朝食にパンという方が多かったんです」と飯阪さん。実際、日本政策金融公庫が2016年に行った調査でも、60代以上ではパン食が米食を上回るという結果も。一方で「本当はバターが好きだけど、固くて塗りづらくて…、という声も聞いていた」といい、バター分をギリギリまで上げることにこだわりました。

 ただ、バターを増やせば分離しやすくなるという問題もあり、全国で製造できる業者を探し、地元・和泉市の「ミールファーム」にたどり着いたそうです。合わせるイチゴもバターに負けないよう2014年に公表された新品種「よつぼし」や希少な「かおり野」のほか「紅ほっぺ」「おいCベリー」など計6種類をブレンドして試作を繰り返し、今年3月、ようやく商品化にこぎ着けました。

 という訳で早速焼きたてのパンを用意。ふたを開けると、バターの香りと甘酸っぱいイチゴの香りが漂います。バターナイフを入れると思ったよりずっと柔らかく、塗り心地もマーガリンぐらいの柔らかさ。これならお年寄りで筋力の落ちた方でもラクです。ほおばると、最初に口にバターのコクと風味が口に広がり、続いてイチゴの酸味と甘みが鼻に抜け、後口はとてもフレッシュ。先に塗ってからトーストすれば、より甘さとコクが引き立ちます。

 「企画した頃はまさかこんな事態になるとは思いも寄りませんでしたが、コロナで今季のイチゴ狩りができなかった分も、ご自宅で農園自慢の完熟イチゴバターを味わってもらえたら」と飯阪さん。オフィスの一部を「のあふぁーむ工房」に改装し、今後は全国の産地のジャムを並べるとともに、ブルーベリーバターなど新商品にも挑戦したい」といいます。

 果汁いちごバターは1個180g、790円(税込み)。のあふぁーむ工房のホームページや楽天市場店などで販売中。

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