キャバクラなどコロナ対策で取り締まり強化? 「風俗営業1号許可」店、営業時間外の接待摘発も

小川 泰平 小川 泰平

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言において、外出自粛などに対する警察の役割について、安倍晋三首相が7日の会見で「協力の要請はあるかもしれない」と可能性を否定しなかったことを受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は10日、当サイトの取材に対し、「客と『密』な環境となるキャバクラなどを風営法違反の見地から取り締まりが強化される可能性も出てくる」と指摘した。

 会見ではフリージャーナリストの江川紹子氏が「警察に要請して、職務質問等を活発化することはあるか」と質問し、安倍首相は「警察が取り締まりに回ることはないが、ご協力は要請させていただくことはあるかもしれない」と返答した。このやりとりを踏まえ、小川氏は「会見ではあいまいな表現だったが、含みを持って、否定はされなかった。この機会に無許可営業の店舗を取り締まる可能性も出てくるのでは」と推測した。

 緊急事態宣言の発令前から、行政側から夜間の外出自粛の要請が出され、中でもキャバクラやナイトクラブ、ホストクラブなど「接待を伴う飲食店」への出入り自粛が求められていた。いわゆる「風俗店」と呼ばれる業種で、その中でも「風俗営業1号許可」という区分になる。経営者は風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)に基づいて許可申請を行い、それを破れば同法違反で罰せられる。

 小川氏は「キャバクラやナイトクラブなどでは、お客の隣に座って酒をついだり、タバコに火を付けたり、乾杯やカラオケのデュエットなどが接待行為となりますが、そうした行為が許されるのは深夜0時まで。それ以降、同様の行為を行うと時間外の無許可営業になり、取り締まりの対象となります」と解説した。

 その上で、同氏は「実際に取り締まるのは警察の年末警戒や風俗店の取締強化月間などに限られていましたが、今回、緊急事態宣言の出た都府県で深夜になっても店にお客さんが密集しているということが分かれば、警察が動く可能性も考えられる。深夜0時以降、客の隣に接待する従業員が座っていれば風営法違反となり、摘発対象となります」と指摘した。

 ちなみに、スナックやガールズバーなどは「深夜酒類提供飲食店」という区分の許可で営業しているケースか多い。小川氏は「こちらは深夜0時を過ぎて酒を出すことはOKですが、(時間に関係なく)隣に座って接客したりカラオケでデュエット等もアウトです。スナックなどでは、あくまで『深夜に酒を提供する飲食店』という名目で営業許可を得ているわけですから、カウンター越しであっても接待行為と認められれば違反になります」と付け加えた。

 安倍首相の会見直前から、この動きを示唆する流れがあった。千葉市の熊谷俊人市長は7日朝に「夜のクラスター発生を防止するべく、県警に対してナイトクラブ等への一斉立ち入りなどの取り締まり強化を要請しています」とツイート。警察の権限や法的根拠を懸念する声に対し、改めて「無許可営業などの店舗もあり、そうした店舗ほど感染予防対策が不十分なケースが多いので、この時期に実施頂くということです」と説明していた。

 休業要請が出された後も営業しているケースを含め、コロナ対策の流れで風営法が適用されていくことになるか。今後の動きが注目される。

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