導かれるように移住した屋久島で出会った猫…飼い主さんに似て旅好きに 一緒に戻った東京で再び迎えた春

川上 隆宏 川上 隆宏

晴れた空の下、満開になった桜の木に登って気持ちよさそうに過ごす猫ちゃん。名前を「ソラさん」といいます。ピンク色が似合うのでよく女の子に間違えられますが、7歳の男の子です。4年前に東京に引っ越してきてから、運動不足のせいか「ぽちゃ猫」になってしまったそう。ダイエットを兼ねて毎日お散歩に出かける日々ですが、保護されたころはもっと痩せていたといいます。

ソラさんと飼い主の原さんが出会ったのは、鹿児島県の屋久島です。

旅が好きで、ツアーコンダクターとして日本中を旅していた原さん。「個人でもいろいろと旅をしましたが、なにか特別な縁を感じて」屋久島に数年間移り住んだといいます。「住みたいなと思ったら、とんとん拍子で現地に住居や仕事が見つかり、島に呼ばれているような気がしました」

2012年の春、周囲に民家もない島の山奥で、道路脇に猫がぽつんと一匹たたずんでいたのを見つけました。

「その山奥は、近くにゴミ処理場があったので、ゴミの中にまぎれて連れてこられたのかもしれません。自力で抜け出して、道まで出てきたのだと思います。見つけたときは、ガリガリに痩せて、全身が粘着テープにまみれ。毛もあらゆるところがはげた状態でした」

原さんは、もし自分が拾わなかったらソラちゃんがどうなってしまっていたのか、思いをはせることがあります。「屋久島に行ったのは、ソラに出会うためだったのでは、と思います。ソラに呼ばれていたのかもしれません」

保護されたソラさんは、猫というよりも犬のような性格で、飼い主さんにべったり。おしゃべりで、一緒にお風呂に入り、トイレまでついてくるそう。お出かけのときには玄関までお見送り、お出迎えしてくれるといいます。「自分を人間だと思っているのか、普通の猫ちゃんには見向きもしないんです」。そのせいか、おもちゃを出しても動かないで見てるだけ…体型もだいぶん貫禄が出てきました。

原さんに似て、旅好きになったソラさん。「車に乗るのが大好きです。なぜか落ち着くらしく、車の中で必ずトイレをします。特に高速道路のドライブが好きで、景色がきれいだと、ニャーニャーと教えてくれます」

一番大きな旅行は、屋久島から東京に戻ってくるときのことです。フェリーに乗って鹿児島へ。車で九州を縦断、親戚の家をまわりながら移動しました。フェリーに乗っているときも窓辺で景色を眺めていたソラさん。大海原をきらきらとした瞳で見つめる様子は、なにかとても楽しそうです。

東京で再び迎えた春です。ソラさんにとってもお出かけ日和になりました。「屋久島生まれということもあり、寒さに弱く、冬はあまりお外に出たがりません。でも暖かくなってきたので、毎日大好きなお外に出かけられるようになりました」

自宅の近くにある立派な桜の木に登ったときの様子を動画で撮影しました。「ソラさんは、屋久島に住んでいた子猫のころから、屋久杉に登っていたので、木登りが上手です。高いところから、景色を見るのが大好きです」と原さん。

動画の中でソラさんの眼差しは、ずっと上のほうを見つめています。「『桜の花、きれいだにゃ~』」と、一面に広がる桜を、見上げているようでした」

新型コロナの不安な話題が相次ぎ、身も心も閉ざしてしまいそうになる日々ですが、春はきっとすべての人と生き物に来ているはず。ソラさんの眼差しの向こうには、やさしい光に照らされた大きな青空が広がっています。

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原さんは「たびねこソラさん」というアカウント名で、TwitterやYouTubeにソラさんの様子を紹介しています。

Twitter「たびねこソラさん @ さんぽ猫」 https://twitter.com/tabinekosorasan

インスタグラム「tabinekosorasan」https://www.instagram.com/tabinekosorasan/

YouTube「たびねこソラさん」https://www.youtube.com/channel/UCRzNbhMtajhMtJOachsJOrA

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