公園でカラスに襲われた子猫が、その場に居合わせた親子によって保護された。その後、飼い猫として優しい里親の元で暮らすことになったが、泥を食べて生きていたためか、ひどい下痢を続けた。厳しい野良猫生活。助かった子猫は運がよかった。
カラスに襲われていた子猫
2016年6月、福岡県に住む中村さんに知人から「近くの公園で子猫がカラスに襲われているみたい」と電話がかかった。マンションのベランダで洗濯物を取り込んでいると子猫の大きな鳴き声がして、カラスに脚を引っ張られているようだったという。
猫が心配になった中村さんは、公園に駆けつけた。公園にいた子供たちに猫の行方を聞いて探すと、ダンボール箱に入れてシーチキンのようなものをあげている親子がいた。子猫に怪我はないようだった。
当時、中村さんは猫を6匹飼っていたので「うちには猫がいっぱいいるので、飼ってもらえませんか」と尋ねたが、「可愛いけど、ちょっと、それは難しい」と言われた。中村さんが現れたことで、母親は少しほっとした表情を見せた。
子猫は生後2カ月くらい、450gの小さな男の子の猫だった。名前は「らいと」にした。
何匹でも飼えるわけではないけれど
中村さんに連絡した知人は後から公園に来て「6匹飼うのも7匹飼うのも一緒でしょ。可愛く育つわよ」と言った。
「もちろん、何匹でも飼育できるわけではありませんが、いまのところ保護した猫は自分で飼うと決めてから保護しているんです。でも、保護したから必ず生き抜けるとは限らず、なかには内臓にまでうじ虫が巣くっていて、助けられなかった子もいます。怪我をしていると分かっていても逃げてしまって保護できなかった猫もいますし、みんなを助けられるわけではないのです。でも、できることはしたいと思っています」
らいとくんは、食欲旺盛でガツガツと食べた。野良猫だったので、食べ物を他の猫や人に取られまいとして「ウーッ」と唸りながら食べていた。途中で手を出そうものなら引っ掻かれたという。
「母猫と早くに離れてしまったのかもしれません。食べ物の獲り方を教わらなかったようで、泥を食べていたため便が緩く、治療に時間がかかりました」
やんちゃで元気な猫に成長
らいとくんは、下痢が治るとしっかり食べてすくすく成長した。
「だんだん毛が伸びてきて、ふわふわの猫になりました。子猫も時もふんわりした毛並みの子だったのですが、とても可愛いんです」
あどけない顔をしているが、らいとくんは、とてもやんちゃな猫。高いところに登ったり、走り回ったり、いたずらをしたりするのが大好きだという。
中村さんが次に迎えた猫、えいとくんとは月齢が2、3カ月しか違わないこともあって、本当の兄弟のように遊んでいる。
「他の猫には全く興味がないようですが、えいととは寝るのも遊ぶのも一緒で、2匹を見ているだけで癒されます」