保護した子猫はいくつになっても甘えん坊…でも、下の子には「猫パンチ」を食らわす厳しいお姉さん猫に

渡辺 陽 渡辺 陽

めいちゃんは、公園ののり面の排水溝に入ったはいいが、出られなくなって困っていた。たまたまそこを通りかかった中村さんがレスキュー。先住猫に囲まれて育ち、末っ子の甘えん坊猫になった。

排水溝にはまって抜け出せなくなった子猫

福岡県北九州市にある公園は、小高い丘の上にあるためのり面が設けられていた。雨水を逃すため、のり面にはいくつかの排水溝があったのだが、その穴に入って自力で抜け出せなくなっている子猫がいた。

2014年5月末、福岡県に住む中村さんが仕事帰りにその近くを通ると、子猫を見つけた子供たちが集まって騒いでいたという。子猫は頭から中に入っていて、お尻が外に出ていた。中村さんは、できるだけそっと猫を引き出そうとした。しかし、つかもうとして触れると足をバタバタさせて嫌がり、ニャアニャア鳴いて奥に行こうとするので、思うように救出できなかったそうだ。

それでも引っ張って少しずつ猫を外に出すことに成功。猫風邪をひいていたので動物病院に連れて行くと、生後1カ月くらいだと言われた。

 たちまち元気に

中村さんは、4匹の保護猫を飼っていたので、子猫を迎えると5匹目になる。

「大丈夫かなと思ったのですが、よほど人が嫌いな子でなければ、助けると決めた時に飼うことにしているんです」

猫風邪をひいていたこともあり、中村さんは自分で飼うことにした。「めいちゃん」と名付けた猫は、すぐに中村さんに懐いた。離乳食を与えると旺盛な食欲を発揮し、生命力を感じさせたという。

先住猫ともすぐに仲良くなって、一緒に寝るように。子猫なので、お兄さん猫やお姉さん猫に「遊んで」とじゃれつき、おもちゃでもよく遊び、どんどん元気になっていった。

 末っ子だが、ボス的存在

あまりにも元気なので、シニア猫のまめちゃんは、少しうっとうしいなという顔をすることもあったが、めいちゃんはお構いなし。やんちゃな末っ子だった。後に、新しい子猫が来ると、めいちゃんは新しい顔を見せた。「先住猫のなかでは一番年下なのに、まるで影のボスのようになったんです」

めいちゃんは、子猫たちが運動会をして走っていたら、バシッと前脚でパンチを食らわす。子猫たちも、なぜかめいちゃんが一喝すると運動会をやめ、大人しくなる。

 いくつになっても甘えん坊

2020年4月には6歳になるめいちゃん。年下の猫も加わってお姉さんになったのだが、末っ子気質は健在で、中村さんとパートナーの男性には甘えてくる。中村さんが寝ようと思って毛布をかぶると毛布の上で、ゴロゴロ喉を鳴らしながらフミフミをする。同じ毛布をポンと置いておいても知らん顔だが、人が寝ようとするとフミフミを始める。

気持ちよくフミフミをしている時に他の猫がやってきても、絶対に場所を譲らない。気の済むまでフミフミして、時には毛布をチューチュー吸うこともあるそうだ。

下の子には厳しいお姉さん猫、でも、飼い主さんには甘えん坊。いろんな顔を見せてくれるめいちゃんは、見ていて飽きない猫なのだという。

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