福岡県に住む中村さんのところに知り合いから、「野良猫を拾ったけどどうしよう」という連絡が入った。中村さんは、5匹の保護猫と暮らしているが、保護活動をしているわけではない。しかし知り合いは「自分では飼えない」と言うので、中村さんは放っておけずに様子を見に行ったのだが…。
「野良猫を拾ったけど、どうしよう」
2014年9月、5匹の保護猫と暮らす福岡県の中村さんのところに知り合いから、「野良猫を保護した。飼えないんだけどどうしよう」という電話が入った。自宅マンションの駐車場で駆け寄ってきて、膝によじ登ってきたという。
「犬を2匹飼っているので、自分では飼えない。どうにかしてほしい」ということだった。譲渡サイトで里親を探したり、友達や知り合いに里親になってくれる人がいないか探したりすることはできたはずだが、中村さんは、その言葉を飲み込んだ。
「保護して譲渡するのも素晴らしいことですが、里親になる覚悟をして、その子の一生に責任を持つことのほうがずっと大変だということも理解してもらえると嬉しいんです」
月齢の近いめいちゃんと仲良しに
いずれにせよ、「飼えない」というので、中村さんは猫を迎えに行き、猫風邪をひいていたので病院に連れて行った。
「知人から『飛びついたまま離れない』と聞いていたので、ものすごい甘えん坊だと思ったのですが、膝にも乗ったり、スリスリしたりすることもありませんでした」
甘えん坊ではなかったが落ち着いていて、車に乗せても膝の上でじっとしていて、獣医師にも抵抗せずに触らせる大人しい子だったという。子猫とはいうものの、身体は大人猫くらいの大きさになっていた。
「先住猫たちが大きな猫を警戒すると聞いたことがあるので、うまくやっていけるのかどうか心配でした。でも、びっくりするくらいみんな大丈夫だったんです。5月に保護したばかりのめいと月齢が近く、2匹はすぐに意気投合しました」
ツンデレだけど、飼い主には気を許している
名前はべるちゃんにした。
「性格は、ザ・猫という感じです。たまに触りたくなってなでるのですが、触り過ぎたら『やめて!』と拒絶します。もうそろそろ嫌になる頃だなというのが分かるんです。抱っこされるのも苦手なので、無理やり抱っこしないようにしています。猫には甘えるんですけど」
中村さんは、人懐っこい猫でなくても、それがその子の性格だからいいと思っている。
「ただそこにいてくれるだけでいい。普段は甘えないくせに、私がベッドで寝ていると布団の中に入ってくることもあるんです。『いつも来ないくせに、今日は甘えるんや』と思うとたまらなく可愛いんです。友達が来たら逃げて隠れてしまうのに、私の前ではリラックスしている。そんな時も嬉しいなと思います」