流通アナリストの渡辺広明氏が「ビジネスパーソンの視点」から発信する「最新流通論」。今回のテーマは「エナジードリンク」。大手メーカーの新規参入などで、さらに多様化しているエナジードリンクについて、渡辺氏が解説した。
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「24時間戦えますか。」のバブル期には栄養ドリンクはドラッグストアと言われる前の薬局の店頭で企業戦士が腰に手を当てて気合いを入れるために飲むものでした。
1999年には規制緩和されコンビニの店頭に専用什(じゅう)器が設置されリポビタンDを中心とする滋養強壮系栄養ドリンクが一般的に幅広く飲まれようになりました。
そんな売場に若者の取り込みで2005年に風穴を開けたのがエナジードリンクと先駆けと言われるレッドブルでした。
小売業から展開をスタートした訳ではなく、若者の集まるバーやクラブで先行販売、ダンスやモータースポーツに協賛、渋谷の街の中に改造された400本の冷蔵庫サンプリングカーを走らせるクールでファッショナブルの広告展開で若者の心を一挙に掴みました。
エナジードリンクは医薬部外品ではなく、カフェインやアルギニンなど覚醒効果のある成分を含んだエネルギー補給する炭酸の清涼飲料で、遊びやスポーツ、勉強と若者に寄り添う飲み物として支持され続けています。
市場はレッドブル発売から15年、モンスターエナジーとの2強で80%前後のシェア、市場規模は年間約1000億円までになり、当時の若者も壮年になり徐々に客層が時代と共に広がっています。
昨年、新規顧客を狙い、「王道」コカ・コーラからコカ・コーラエナジーが参入しました。
そして今春には、サントリーからアイアンボスがコーヒーブランドからエナジードリンク参入の意外性もありの新商品として話題を集めています。
ストレス社会を意識して自律神経のバランスを整えて、リラックスをもたらす成分GABAを配合しています。認知あるブランドを活用することにより若者だけグルメでなく、30代以上の顧客の取り込みを狙う戦略です。
エナジードリンクは、覚醒感や高揚感を得られることで、男性の支持が多いですが、今後はさらに女性向けのリラックス癒し系エナジードリンクのような新ジャンルが生まれてくるのかもしれません。