半日かかっていた死亡手続きが40〜50分に! 広がる自治体の「おくやみコーナー」…設置した奈良市に聞く

平藤 清刀 平藤 清刀

手続きの種類によっては担当課へ案内することもある

おくやみコーナーでは、各課の窓口で行う手続きをでき得る限り一括して行える体制になっているのだが、必ずしもそうでない場合もあるという。

たとえば子供を亡くした親御さんには、手続きと併せて相談業務も一緒に行えるよう、子ども育成課へ直接案内することがある。また年金関係の手続きは、最終的には年金事務所へ行ってもらうが、国民年金係であらかじめ相談すれば、役所で取っておくべき書類を用意することができる。

システムは今も進化の途上にある

おくやみコーナーは市長(仲川げん氏・3期目)のトップダウンにより、約1年間の準備期間を経て設置された。すでに同じ趣旨で運用されている窓口が三重県松阪市にあったので、中川課長を含む市職員3名とシステム構築を担当する業者が同市を視察し、運用ノウハウを得て、奈良市の実情に合わせて微修正を行った。

「今でも専用端末を使って質問する項目内容を見直したり、印刷する申請書類等を追加したりするなど、随時システムに手を加えています」

専従のスタッフは3名いるが、日中に常時対応しているのは2名だ。次第に市民の間に周知されてきて、利用者が増える傾向にある。すでに手いっぱいの状態で頑張っているという。

おくやみコーナーは奈良市が参考にした三重県松阪市のほか、大分県別府市、兵庫県神戸市、三田市などでも同じような窓口が運用されているという。筆者の個人的な感想をいえば、いわゆる窓口巡礼を「仕方ない」とか「役所はそういうところ」と諦めてしまうのではなく、もっと広く全国に広がってほしいと感じた。

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