こなすくんを含む4匹の子猫たちは、修理のために預かった車のボンネットの中にいた。母猫が近くにいたので、母猫に返すか、人間が育てるか迷ったが、人間が育てることにした。先住猫のおこげくんは、まるで母猫のように子猫たちに接した。
ボンネットの中にいた子猫たち
愛知県に住む金谷さんは、家の1階で自動車修理工場を営んでいる。2012年6月9日、ご主人が仕事を終え、お客さんから預かった車のボンネットを開けてみると、何かうごめくものが見えた。「ねずみかな?」と思ってよく見てみると4匹の子猫だった。驚いたご主人は、子猫を1匹ずつ取り出し、ダンボール箱にタオルを敷いて中に入れた。近くには、母猫と思われる猫もいた。大雨だったので、雨をしのぐために母猫がボンネットの中に入れたのか、ボンネットの中で産んだのかは分からなかった。
金谷さんが仕事から帰ると、母猫に子猫たちを返すのか、金谷さんが育てるのか、「どうする?」という話になった。しかし、母猫に返しても、生きていける保証はない。いつまでも考えているわけにもいかず、金谷さんは自分で育てようと思ったという。母猫も捕まえて保護しようとしたが、その日は離れて行ってしまった。子猫たちが入っている箱を下に降ろすとミルクをあげにきた。しかし、いつしか母猫は姿を見せなくなった。金谷さんは、子猫を連れて行かれないように部屋に入れ、1時間おきにミルクを与えた。
母猫のような先住猫
金谷さんは、おこげくんという生後11カ月の猫を飼っていた。おこげくんはオス猫だが、母性(?)が働くのか、子猫たちの面倒をよく見てた。
「1匹ずつ全身をなめてグルーミングしたり、肛門を舐めて刺激して、排泄の手伝いもしたりしたんです。1匹ずつ転がしておくと、1匹ずつ抱いてくれました」
3匹の子猫は、里親が決まったが、こなすくんだけは金谷さんが飼うことにした。こなすくんは離乳食に変わる頃、急に弱ってきて、体温が下がり、心臓マッサージをすることもあったという。
「あまりにも弱々しいので、この子は育てたいと思ったんです。里親さんが見つかっても、すぐに亡くなるといけないですし」
金谷さんのご主人は、こなすくんを飼うと金谷さんの歯止めがきかなくなるのではないかと思って、こなすくんも里親を探したほうがいいと言った。しかし、情が移って「1匹だけならだけならいい」と言ってくれた。
まるまるとしたた猫に
娘さんが動物看護士をしていたので、ちょっと具合が悪い時は、一緒に病院に連れて行ってくれた。大事に育てられたこなすくんは、丸々と太って体重は6.8㎏になった。金谷さんにべったりくっついて過ごしている。
相変わらずおこげくんはこなすくんの母猫のよう。こなすくんが「ごはんをくれ」としつこく要求鳴きしていると、変な声を出しながら走ってきて、こなすくんの首元を噛んだり、押さえつけたりする。