確定申告にあわせて詐欺が増える3月…怖い「アポ電強盗」に注意 資産状況を確認→詐欺が失敗すると強盗に

多田 文明 多田 文明

3月は確定申告の時期です。それゆえに、詐欺を行う側にとっても、期限を切った形での「だまし」ができやすくなります。そうした理由もあるのでしょう。2018年3月の特殊詐欺の被害件数は1618件と、月ベースでみると一番多くなっています。特に今年は新型コロナウィルス感染の影響により、確定申告の終了時期が一カ月伸びて4月16日になりましたので、より詐欺への警戒する期間も長くなったといるでしょう。

このところ、還付金詐欺などの電話が都市圏を中心に多くかかってきています。これを聞いて「ああ、還付金詐欺ね。わかっているよ」と思っていらっしゃる方にもぜひとも気をつけてほしいことがあります。

これまでの還付金詐欺というと「払いすぎた保険料がありますが、お戻しの手続きはなさいましたか?」と電話をかけて「今日中に手続きをしないと、お金が受け取れなくなりますよ」と期限を切ってATMに呼び出します。そして、タッチパネルの画面操作を電話で指示しながら、本人にお金が振り込まれるように思わせて、逆に詐欺犯の口座にお金を振り込ませる―という手口でした。もちろん、この被害も未だに深刻ですが、近年は還付金詐欺の話をもちかけて、キャッシュカードをだまし取ることも多いのです。


役所の職員をかたり「保険料を戻します」と電話をかけるまでは同じですが、この手口では振込先の口座を聞き出すと「これから振り込みの手続きをします」といって、いったん電話を切ります。

その後、銀行関係者を名乗って、再び電話をかけ、「口座にお金を振り込めませんでした。あなたのキャッシュカードが令和に対応していない古いものなので、新しいカードに取り換える必要があります」といわれます。そして、カードの切り替えを名目に、家に銀行関係者を装った人物がやってきて、カードをだまし取っていきます。事前に電話で暗証番号を聞き出したり、詐欺師が持参した封筒にカードと暗証番号を書いた紙を入れるように指示してきますので、本人がだまされていると気づくまで、何度もお金を引き出されてしまいます。

時に、カードが使えないことを信じさせるために、訪れた家で「カードを処分しますね」といい、ハサミで切りこみを入れることもあります。カードを切れば、もう使い物にならない…そう思わせて、カードを持っていくのです。実際のところは、カードの重要な磁気部分には損傷を与えていないので、ATMでいくらでもお金を引き出すことができます。

特に怖いのは、役所や警察などに成りすまして電話をかけ、相手の資産状況を聞き出してから、家に押し入るアポ電強盗でしょう。最近は、詐欺の電話をかけて嘘がバレて失敗しても、家にお金があることさえわかれば、強盗という手段に出ることもあります。

今年に入り、還付金詐欺の電話がかかってきた家がありました。家人が詐欺だと見抜いて、相手の嘘を暴こうと、部署や名前を何度も尋ねる言葉を投げかけると、相手は逆切れしてきました。
「殺すぞ、このやろう!家に行くからなあ!おう!」という捨て台詞を吐いて電話を切ったそうです。これまでにない傾向です。というのも、こんな言葉を吐けば、警察に通報されて、今かけている電話番号が使えなります。

これまでの詐欺ですと、一人でも多くの人からお金を取るために、嘘がバレそうになっても逆切れすることなく、さっと電話を終わらせることが多かったのです。ところが、最近は「家に行くぞ!」という、脅すような言葉を吐くこともあります。おそらく、相手をだました後のお金の取り方のひとつに「強盗」という手段を入れてきいるため、このような言葉が出てきているのかもしれません。

確かに入口は還付金の話かもしれませんが、お金を振り込ませる、カードを詐取する、アポ電による情報収集を行うなど、いろんな方向に枝分かれしていきますので、詐欺犯らの巧みな誘導には気をつけてほしいと思います。

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