故郷・福島の味を京都で味わって 原発事故で地元を離れた料理人、京都で再起の食堂

浅井 佳穂 浅井 佳穂

 東日本大震災で大きな被害を受けた福島県浪江町出身の料理人が、週に1度限定の郷土料理の食堂を京都市中京区で開いている。いったんは伏見区で店を構えたが、閉店せざるを得なかった。故郷の味を伝えたいとレンタルスペースの町家を借り再起している。

 料理人は白瀬清尉(きよい)さん(43)=伏見区。プログラマーとして郷里と東京を往復していた2011年3月、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故が起こり、家族とともに伏見区に身を寄せた。

 京都で料理の道に進むことを決め、調理専門学校に通い料亭などでも修業した。2017年8月、伏見区に念願の店「瀬のしろ」をオープン。福島県の味と酒が楽しめるとあって同県出身者らに人気を博したが、店舗の老朽化などから19年3月に閉店した。

 郷里の味を京都で再び味わいたいと関西在住の同県出身者が、中京区御前通丸太町下ルのレンタルスペース「ふれあい町家 蓮」を見つけ、「瀬のしろ」再開を提案。今年2月3日から3月30日までの毎週月曜日限定で復活が決まった。

 「瀬のしろ」では、福島県から麺を取り寄せて作る「なみえ焼きそば」をはじめ、大根やニンジン、油揚げなどを用いた郷土料理の炒め煮「ひきないり」や、ニンジンとするめを使った「いかにんじん」など10品以上が味わえる。さらに浪江町で造られ現在は山形県長井市で醸造されている日本酒「磐城壽(いわきことぶき)」「親父(おやじ)の小言」も提供。また、福島県喜多方市名物の喜多方ラーメンの生麺も販売する。

 白瀬さんは「可能であれば今後も長く店を続け、郷土料理の魅力を知ってもらいたい。さらに地元浪江の現在にも関心を高めてもらえれば」と話す。営業は午前11時半から午後8時まで。

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