女子高生が1匹の子猫を保護したが、それを知った親が激怒。捨ててきなさいと言われたが、通学カバンの中に隠していた。たまたま猫好きの近藤さんの息子さんが発見した。
連れて帰ると激怒
愛知県に住む近藤さんの息子さんは、家を出て静岡県にある高校に通っていた。2015年6月、「息子から突然連絡があって、うちで猫を飼ってくれないかと言われたんです」。
後輩の女の子が、家の近くの空き地で子猫を1匹保護したが、連れ帰ると母親は怒って「捨ててきなさい」と言われたのだという。女の子は、子猫を捨てることもできず、通学用のカバンの中にペットシーツを敷いて飼っていた。ミルクやごはんは与えていなかった。近藤さんの息子さんが子猫に気づいて、クラスで引き取ってくれる人を探したが見つからなかった。
近藤さんは、子猫をすぐにでも迎えに行きたかったが、そういうわけにもいかず、週末まで女の子の家で預かってもらった。女の子は両親に隠していたが、見つかってしまって怒られた。翌日の土曜日には近藤さんが来てくれる予定だったので、なんとか許してもらえた。ただ、両親はノータッチという約束で、子猫用のミルクやごはんは買ってもらえなかった。子猫も絶対に見せるなと言われたそうだ。
優しいお兄さんとお姉さん猫
近藤さんは、息子さんの寮の近くで女の子と待ち合わせ、子猫を引き取った。少なくとも数日間ごはんもミルクも口にすることのなかった子猫は、だいぶ衰弱していた。獣医さんに診せると「生後1カ月くらいだが、身体の大きさは普通の子より小さいね」と言われた。
「ミルクをあげてみましたが、あまり飲まず。最初はキャットフードを嫌がりましたが、お腹がすいていたのか、ガツガツ食べてくれました」
名前はランちゃんにした。
近藤さんは、ショコラちゃんとエイトくんという2匹の猫を飼っていたので、ランちゃんとの相性が心配だった。ショコラちゃんは怖がりなので、ランちゃんが近づくと威嚇した。エイトくんがランちゃんを守るように寄り添っていたので攻撃してくることはなかったという。2日間もするとショコラちゃんもランちゃんを受け入れた。
一度、エイトくんの首輪がランちゃんの口にはまって取れなくなった時、そばにいたらショコラちゃんが取ってあげて、血のついた口の周りをなめてあげたこともある。
末っ子は甘えん坊
ランちゃんは、通学カバンの中に閉じ込められていたので警戒心が強かったが、なれてきたら甘えん坊になった。
「ごはんやお水を手のひらからもらうのが好きなんです。そばに人がいると、名前を呼んで、水を飲ませて、ごはんを食べさせて…と、いつも何か要求しています」
近藤家の猫は、みんなおっとりした性格。
「猫ってこんなに可愛かったんだと思いました。懐かないと聞いていましたが、すごく甘えるし、聞き分けがいい。ごはんの時にお手とおかわりを教えたら、2、3回で覚えました。ランは、エイトとショコラを見て覚えました」
小柄なランちゃんをショコラちゃんとエイトくんは、末っ子だと思っているようで、自分が近藤さんの膝に乗って甘えたくても、ランちゃんに譲ってあげている。