みたらしくんは、子猫の時、兄弟と一緒にスーパーに捨てられていた。動物愛護団体に勤める桑原さんに「子猫が捨てられている」と教えてくれた人がいて助かった。里親が見つかったものの、先方の都合で返され、桑原さんがうちの子にした。
スーパーの駐車場に驚きの張り紙
千葉県に住む桑原さんは、動物愛護団体に勤務している。2012年5月、桑原さんが猫好きで、多頭飼いしていることを知っている人が団体にやってきて、「近くのスーパーに猫が捨てられている」と教えてくれた。桑原さんは、急いでスーパーに行ってみた。
スーパーの駐車場付近には、3匹の子猫がダンボール箱に入れて捨てられていた。グレーの子と黒猫、サバトラの猫だった。血のついた黒猫は、カラスに襲われたのか既に亡くなっていた。ダンボール箱には「お好きにどうぞ」とチラシの裏に書かれた紙が貼られていた。
「『まるで物みたいに扱って!』と腹立たしく思い、子猫たちを連れて帰ることしか頭にありませんでした」
桑原さんは、コンビニでミルクとごはんを買い、職場に戻った。
事情が変わったから飼えない
子猫たちが捨てられていたのは、5月とはいうものの暑い日で、弱っているからなのか、離乳したばかりで食べ方を知らないのか、食欲がなかった。鳴く力はあったが、力のない顔つきで、やや弱っていた。ただ、猫風邪はひいていなくて、目もきれいだった。ノミもついていなくて、誰かが飼っている猫が産んだ子猫ではないかと思われた。
自宅に連れ帰り、グレーの子は里親を募集。少し前にグレーの被毛の子を飼っていたが、自宅の敷地内で車にひかれて死亡。娘さんが落ち込んでいるという人が引き取ってくれた。里親は、以前、猫が家の中と外を自由に行き来できるようにしていたが、事故で猫を亡くして以来、外には出さないようにしているという。桑原さんも完全室内飼いしてくれる人にしか譲渡していない。
甘えん坊の猫に
サバトラの子猫も里親が見つかったが、「事情が変わって飼えなくなった」と連絡があり、わずかひと月で戻されてしまった。桑原さんは、「これはうちで飼えということだな」と思い、子猫を飼うことにした。
名前は、みたらし団子にちなんで「みたらしくん」にした。
先住猫の中に両目共に盲目の子がいたが、とても優しく温厚な性格で、みたらしくんの匂いを嗅いですぐに舐め始め、お兄ちゃん猫として面倒をみてくれた。
「目が見えなくても、鼻と耳で匂いや音を拾い、部屋中走り回ってかけっこをしていたんです。里親さんが現れるのを待っている猫も加わり、毎日3匹で遊んで、疲れると寄り添ってぐっすり眠っていました」
他の先住猫たちは、「うるさいな」という感じで眺めていた。
2016年、盲目の先住猫が亡くなり、みらたしくんは気の合う猫がいなくなった。2匹の先住猫も亡くなったが、そこに3匹の子猫たちがやってきて、桑原家は再びにぎやかになった。
みたらしくんは8歳になったが食欲旺盛、キッチンやテーブルに人間の食べ物があると食べてしまうので、必ず誰かが見張っていないといけない。
「でも、食欲があるうちは大丈夫!」と納得するようにしている。「甘ったれで、甘ったれで」、可愛いのだという。