真新しい機器でハードなトレーニングを重ねる身長179センチ、90キロの大男。黒いタンクトップからのぞく自慢の筋肉をアピールするのは坂本一生(46)だった。
その名に聞き覚えはあるだろうか。1993年のこと、「新加勢大周」の芸名でデビュー会見を行ったあの青年だ。俳優の加勢大周とその名付け親が社長を務めていた所属事務所が、芸名の所有権を巡って法廷闘争となり、紆余曲折あって「新加勢」が坂本と改名してデビューとなった。
インパクトは絶大で当初は次々と仕事が舞い込んだが長くは続かず、坂本は次第に芸能界から距離を置き、転職を繰り返すことに…。プロレスラー転向に始まり、トラック運転手、とび職、便利屋などその数12回。「仕事に就く度にだまされたり、ケガをしたりと、不器用というか、バカでドジ、不注意なんです」と振り返った。
そして今度は昨年11月、千葉の八千代台駅前に「坂本一生SISパーソナルトレーニングジム」をオープンした。坂本自身がダイエットや健康維持、筋肉増強など希望に添って個人レッスンを行う。
豪州に留学していた学生時代から始めた筋トレ。「無職になって自動車の中で生活したこともありましたが、その時も筋トレをしていました。もう、28年続けています」という。
そうした経験を生かしてのジムオープンだったが「経営は難しくて…。料金やプランを見直したり、チラシを作ったり、やることも多くて」と頭をかいた。それでも「地元八千代のみなさんの健康な体つくりのお手伝いをして、恩返しになれば」と目を輝かせた。
転職を繰り返してきた坂本だが、これが本当の“天職”となるだろうか。
(デイリースポーツ・中村博格)
◆坂本一生(さかもと・いっせい)千葉県出身、46歳。高校卒業後、2年間留学していた豪州から帰国した1992年、成田空港でスカウトされ、芸能界入り。旧芸名は「新加勢大周」(しんかせたいしゅう)、坂本一世、大旗一生への改名も。