労基署の是正勧告 放置すると刑事罰、ブラック企業の烙印

元アイドル弁護士が解説

平松 まゆき 平松 まゆき
複数の芸能事務所が労働基準監督署から相次ぎ是正勧告を受けた(tayukaishi/stock.adbe.com)
複数の芸能事務所が労働基準監督署から相次ぎ是正勧告を受けた(tayukaishi/stock.adbe.com)

 上限を超える時間外労働(残業)をさせたなどとして吉本興業と子会社(いずれも大阪)の東京事業所や、大手芸能事務所のアミューズ、LDH JAPANが労働基準監督署から相次ぎ是正勧告を受けていたことが発覚した。3社は勧告を受け入れ、対応を進めていくことを表明している。他方、是正勧告に従わない企業も散見され、その場合はどのようにして法的手続きが進むのか。元アイドルで歌手デビューも果たした平松まゆき弁護士にQ&A方式で解説してもらった。

  ◇  ◇  ◇

 Q 大手芸能事務所3社に労働基準監督署の是正勧告が出されたようですね。是正勧告とはどういうものですか?

 A 是正勧告は、労働基準監督署(労基署)が労働法規に違反する企業に対して行う行政指導です。そもそも労働法規は労働者保護を目的として、労働条件・時間・賃金などについて各種の規制を定めています。そしてこれらの規制の実効を確保するために設けられたのが行政監督機関である労基署であり、是正勧告も労基署に認められた監督権限のうちの1つです。

 Q 年間どれくらいの是正勧告が行われているのでしょうか?

 A 厚生労働省の発表によりますと、2017年4月から18年3月までの間に労基署の監督指導の対象となったのは2万5676事業場で、そのうち1万1592事業場(45.1%)に対し是正・改善を求めたということです。

 Q どういう場合に是正勧告などの監督指導の対象とされるのですか?

 A 対象となる企業を労基署が一定の基準の下に主体的・計画的に選定して立入調査等を行う「定期監督」や、労働者らからの申告によって事情聴取等が行われる「申告監督」があります。厚生労働省が発表した労働基準監督年報では、16年中の「定期監督等」が13万4617件、「申告監督」が2万1994件だったようです。労働者らからの申告は氷山の一角でしょう。

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