コンビニ店頭に野菜が!地域密着で商機開拓…一律店舗からの脱却が2020年以降のカギ

最新流通論

渡辺 広明 渡辺 広明

 流通アナリストの渡辺広明氏が「ビジネスパーソンの視点」から発信する「最新流通論」。今回のテーマは「コンビニ店頭の野菜販売」。従来の型にはまらない「一律店舗からの脱却」が2020年以降のカギになると指摘した。

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 東京・世田谷区の大手コンビニの店頭では、野菜や果物を売る「プチ八百屋さん」の展開がチラホラ見受けられます。気になって平日の店頭をチェックしてみたら、シニアの人が買われている場合が圧倒的に多かったので、聞いてみると…。

 「普段は弁当とか惣菜の出来合いを買うけど、味気ないので週に2~3回は料理を作る。その時に近所のコンビニで買えてすごく便利。果物も鮮度があって買いやすい価格でうれしい」とのことでした。確かに各社の店頭をチェックすると、じゃがいも100円、玉ねぎ120円、長ねぎ100円、みかん280円…と、お財布に優しい価格でした。

 世田谷区は、空き家数が約4万9000戸と全国市区町村別で第1位。高齢者の人口密度が高い地域ということもあり、家で3食を料理するのが当たり前だった高齢世帯が多く、コンビニ×青果店が相性も良く、購買ニーズも高いようです。

 店頭がプチマルシェのような本格的展開になっているコンビニもあり、1日売上が10万円以上ある、青果店顔負けのコンビニもあるようです。これらの野菜の展開は、コンビニの本部の推奨取引先ではなく、店舗ごとに野菜の取引先を探して展開する店舗別仕入れとなっています。

 野菜・果物は、コンビニ本部が得意とする、大量仕入れして、高品質で安く仕入れるという方程式が通用しないカテゴリーで、一般的には、朝市場で仕入れた新鮮な商品を、相場に合わせて昼以降に納品して販売するという考え方に向いているからです。

 本部が得意としない、細やかな対応を店舗が個別に実施して地域密着していく方向はますます進化していきそうです。

 ファミリーマートは、店舗の集客力を利用して、店舗の負荷のかからない業態の併設に力を入れています。コンビニは雨にお客が減るため、雨にお客の増えるコインランドリーを併設、待ち時間にコーヒーを飲んでもらう。24時間営業の特性を活かし、指紋認証で利用できる24時間フィットネスを2階に併設、店舗ではプロテイン商品を販売するなど、試行錯誤が続いています。

 一律店舗からの脱却がコンビニの2020年以降のカギとなりそうです。

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