新しい年を迎え、今年こそ語学をマスターしようと考えている人は多いのではないか。特に英語は現在のビジネスシーンには不可欠。しかも今年は東京オリンピックイヤーということもあり、外国人と接する機会もおのずと増えるはずだ。とはいえ、就活やキャリアアップには欠かせない武器なのに、なかなかマスターできないのも確か。そんな人に心強い留学先があるという。”草食系”でも英語が身につくとして、いま話題になっているのがW杯ラグビーでも注目された南太平洋の島国フィジーだ。
2018年にフィジー共和国教育省から認定を受けた「フィジー留学カラーズ」を運営する株式会社アールイーカンパニーの多田祐樹代表(47)に経緯を聞いてみた。
―なんでまたフィジー留学?
「意外に思われるかもしれませんが、フィジーはイギリス領だったので英語を話せます。しかもゆっくり、と。100年ほど前にはインド人も移民として入って来ており、文化が混ざっている。その影響か、人に話しかけたり、人の話を聞こうとする姿勢がある。そして何より治安がいい」
―英語留学を運営するきっかけは?
「23歳のとき、東京の旅行会社へ就職。その後、いろいろあって会社を辞め、36歳の時に”これからは英語だ”と思い、フィリピンに留学しました。英語はできなかったのですが、現地で車関係の貿易会社を立ち上げ、同時に5年で10校ほどの学校を見て回りました。こんな僕でも英語が話せるんだ、と。そのとき、いつか学校をやりたいと思うようになった」
―なのにフィリピンではなくフィジーで開校。
「仕事で最初にフィジーを訪れたのは10年ほど前。乗り合いバスに乗っていると見ず知らずの人が話しかけてくる。”宇多田ヒカル知ってるか?”となって、最後は10人ほどで大合唱になった。そんなところがおもしろいと思った」
―草食系英語留学の意味は?
「アメリカやイギリスだと自分から話しかけないと取り残されてしまう傾向。その点、フィジーだと向こうから話しかけて世話をやいてくれる。シャイな日本人にはピッタリだと思ったんです」
―フィジーの良さは?
「大小330の島からなり、トータルでは四国ぐらいのところに住んでいるのは70~80万人。決して豊かではありませんが、自然に恵まれ、17年の世界幸福度ランキングで1位になったように、ほとんどのフィジアンは自分は幸せと思っている」
―他には?
「とにかくフレンドリー。食べ物をシェアする文化もあり、貸して貸してというケレケレ文化もある。だれでも現地で溶け込みやすいんですよ。留学のチャンスはそう多くない。留学は英語力のみならず、もうひとつ何かを学ぶことが大切。その意味で貴重な体験ができるフィジーがいいと思いました」
―ここに至るまでは”しくじり人生”だったとか。
「そうなんですよ。30歳のとき、貿易会社の立ち上げに参画し1300万円の負債。39歳のときには東アフリカのウガンダで会社を設立し、軌道に乗ったと思ったところで現地のパートナーに1000万円ほど持ち逃げされました。でも、まぁ人生、何とかなるもんです。サラリーマン不適合者でしたが、自身の経験も伝えられたらと思っています」
英語力ゼロから海外で起業した実績を買われ、講演活動も行っているとか。多田さんの回復力も学びたいところだ。