野球解説者で、最近は「Mattの父」としても人気の桑田真澄氏が、21日からグランフロント大阪で始まる「PIXARのひみつ展 いのちを生みだすサイエンス」の開会式に登場し、野球とピクサー作品との共通点や、タレントとして独自の道を切り拓いている息子への思いなどを語った。
「トイ・ストーリー」や「モンスターズ・インク」「カーズ」など数々の傑作を手掛けてきたピクサー・アニメーション・スタジオの制作工程を体験することで、魅力的なキャラクターや世界観がどのように生み出されるのかを楽しみながら学ぶことができる「体験学習展示」。日本では今年4月に東京で開催されて以来、2カ所目となる。ちなみに今回桑田氏が呼ばれたのは、プロとして初登板した1986年がピクサーの設立と同年だから、という“奇縁”による。
ピクサーの哲学は桑田流野球に通ず
展示を一通り見学した桑田氏は「アートとサイエンスの融合ですね。きっと失敗もたくさんしてきたんだと思うけど、それを乗り越える努力と技術の力を感じた」と刺激を受けた様子。すぐに野球解説者の顔になり、「野球も実は感性とサイエンスの融合。例えば『いいボールが投げられない』という人は、それは適切な投げ方、つまりサイエンスが足りていないだけ。体の動かし方も合理的に考えて練習すると上達する」と話した。
桑田氏はPL学園高時代から「練習中に水を飲むなと言われても飲み、体を冷やすなと言われてもアイシングし、休むなと言われてもきちんと休んで肩と肘を守ってきた」という。
「選手としては体が小さい方なので、どうやったら勝てるかを常に考えていた。気合と根性の時代に、無駄なことはせず、合理的かつ効率的な練習スタイルを貫いた。常に進化していくサイエンスやテクノロジーと共に歩むピクサーには、何か通じるものを感じる」
「美容はわからない」けどMattをリスペクト
話題は今年、目覚ましい活躍を見せたMattに。桑田氏は「彼には野球をやらせたかったけど、音楽や美容に興味があり、芸能の道に進みたいという息子に僕ができるのは、その生き方をリスペクトして背中を押してやることだけ。僕はこれまで野球からたくさんの幸せをもらった。Mattには、違う道で幸せになってもらいたい」と笑顔を見せた。
「美容のことや、彼の向かう方向は僕にはよくわからないけど、それも自分の人生。信じた道を歩めばいい」
「芸能もスポーツも厳しい世界なので、Mattにはこれから必ず試練が訪れると思う。そんなときも僕は父として一番の応援者でありたいですね」
Mattもピクサー作品が好きで、「小さい頃は『ファインディング・ニモ』や『レミーのおいしいレストラン』なんかのDVDを買って一緒に見たのを覚えている」と桑田氏。ちなみに桑田氏は「Mr.インクレディブル」がお気に入りだという。
「展示を通じて、ピクサー作品はただ面白いだけではなく、信じられないほどのリアリティと、それを実現するためのテクノロジーがいかにすごいかがよくわかった。クリエイティブな世界に触れて、人生を豊かなものにしてもらえれば」
「PIXARのひみつ展 いのちを生みだすサイエンス」は21日から2020年2月24日まで(1月1日は休館)。会場はグランフロント大阪北館のナレッジキャピタルイベントラボ。一般1600円、中高生1200円、4歳〜小学生800円。